2000 Fiscal Year Annual Research Report
フィッシャーカルベン錯体を用いる新規[3+2]型付加環化反応の開発
Project/Area Number |
12740351
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
神子島 博隆 学習院大学, 理学部, 助手 (50306528)
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Keywords | フィッシャーカルベン錯体 / イミン / [3+2]型付加環化反応 / 3-ピロリン誘導体 |
Research Abstract |
アルケニルフィッシャーカルベン錯体は有用な三炭素源として合成反応に利用されているが,イミンの炭素-窒素二重結合と反応し,含窒素5員環化合物を生成する例は報告されていない。そこで本研究ではアルケニルフィッシャーカルベン錯体を三炭素源として利用する基本思想で,アルケニルフィッシャーカルベン錯体とイミンとの新規[3+2]型付加環化反応の開発を目指した。その結果,アルケニルフィッシャーカルベン錯体とイミンが熱的に新規[3+2]型付加環化反応を起こし,対応する3-ピロリン誘導体が得られることを見出した。反応は高位置選択的に進行し,対応する位置異性体2-ピロリン誘導体を検出することはできなかった。また,反応の立体選択性も高く,ほぼ単一のジアステレオマーを得ることができた。なお,X線結晶構造解析法により主ジアステレオマーの相対立体配置はトランスであると決定した。さらに,興味深いことに反応系に触媒量の塩化ガリウム(III)を添加し反応を行なわせると,高選択性を保持したまま収率を向上させることに成功した。現在のところ,ルイス酸の添加効果については不明であるが,ここで得られた知見はフィッシャーカルベン錯体の化学の進歩につながるものと考えている。生成物の3-ピロリン誘導体は適切な変換反応により,ピロール誘導体及び3-ピロリジノン誘導体へと容易に誘導することができた。従って本反応を用いることにより種々の含窒素5員環化合物を合成できる。 以上のように本研究では,アルケニルフィッシャーカルベン錯体とイミンの新規[3+2]型付加環化反応を開発することができ,この反応により種々の含窒素5員環化合物を合成できることを明らかにした。従って,本研究の成果は有機合成化学及び有機金属化学の発展に寄与することができると確信している。
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Research Products
(1 results)