2000 Fiscal Year Annual Research Report
トリアゼン類を用いた新しい炭素-炭素結合生成反応の開発
Project/Area Number |
12740401
|
Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
西脇 敬二 近畿大学, 薬学部, 助手 (00309353)
|
Keywords | 有機合成化学 / 炭素-炭素結合生成反応 / 1-アリール-3,3-ジアルキルトリアゼン / ベンジルアミン誘導体合成 / 立体選択的反応 |
Research Abstract |
1-アリール-3,3-ジアルキルトリアゼン化合物のアリール基上の2位に水素を有する場合、n-ブチルリチウムなどの塩基を作用させると、脱窒素を伴いながら、分子内で炭素-炭素結合が生成し、ベンジルアミン類が得られることを明らかにした。またこの反応において、アリール基上の置換基の電子的及び立体的な性質が、収率や位置選択性に大きく影響を及ぼしていることがわかった。さらに反応機構を解明するために、アリール基上の2位および6位に重水素を置換したトリアゼンを合成し、同様の反応を行ったところ、大変興味深いことに、これまでに報告例のないアリール基上の分子内1,2-水素移動反応を経由することにより、反応が進行していることが明らかとなった。 現在、ベンジルアミンは有機合成において有用な中間体であり、また立体選択的反応は合成反応開発には必要不可欠となっている。つまりこの反応を用い、光学活性なベンジルアミン誘導体の合成を検討することは大変有益であると考えた。これまでにアニオンを立体選択的に生じさせるためには、分子外あるいは分子内にキラルな環境を付与すれば制御できることが知られている。今回、添加剤として光学活性なジアミンを反応系中に加えて反応を行う分子外制御法、そして3位の窒素上に光学活性な置換基を有するトリアゼンを合成し、それを原料として反応を行う分子内制御法の2つについて検討を行い、興味ある結果を得た。分子外制御法については若干ではあるが選択性が見られた。今後、反応温度やキラルな添加剤の検討を行い、さらに鏡像体過剰率の向上を目指す予定である。また分子内制御法においても立体選択性が見られたが、完全なジアステレオ選択的な反応で進行しておらず、まだまだ検討の余地が残されている。 これらの結果の一部は、日本薬学会第121年会で発表予定であり、また雑誌論文としての発表は、現在準備を進めている段階である。
|