2000 Fiscal Year Annual Research Report
植物液胞タンパク質の細胞内輸送に関わる細胞質因子の解析
Project/Area Number |
12740446
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
嶋田 知生 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20281587)
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Keywords | 液胞 / PV72 / 細胞内輸送 / 液胞タンパク質 / GFP / 選択的輸送 |
Research Abstract |
小胞体で合成された液胞タンパク質は,輸送レセプターによって液胞に選択的に運ばれる.本研究ではこの選択的輸送の分子機構の解明を目的に,カボチャ輸送レセプターPV72の細胞質ドメインと相互作用する因子の解析を下記の2つのアプローチから行った. (1)生化学的アプローチ 細胞質ドメインと結合する成分を単離精製するためにアフィニテイーカラムを作製した.細胞質ドメインとチオレドキシンヒスタグとの融合タンパク質を大腸菌で発現させ,精製後,アミノリンク法によりカラムを作製した.登熟カボチャ子葉の可溶性画分を流したところ,特異的に結合する数本のバンドが検出された.このうちもっともメジャーである約55kDaのタンパク質について,N末端アミノ酸配列の決定を行った.検索の結果,得られた配列は既知の配列には相同性は見られなかった. (2)遺伝学的アプローチに向けて 輸送レセプターの細胞内局在性は細胞質ドメインと相互作用する因子によって規定されていると考えられる.このアプローチでは輸送レセプターの局在が変化した変異体の解析からその因子の同定を目指す.まず,輸送レセプターの局在を可視化するためにルーメンドメインをGFPに置換した融合タンパク質を発現させた.タバコ培養細胞ではゴルジ体と思われる小さな顆粒が見られたが,シロイヌナズナではより大きな不定形の蛍光が観察された.電顕観察からGFP融合タンパク質が未発達の液胞内でアグリゲーションを形成している可能性が示唆された.蛍光が強い個体ほど生育不良を起こすので,これを回避するためにグルココルチコイド誘導性プロモーターを使用した.この場合は,グルココルチコイド存在下で正常に生育し,GFP融合タンパク質が発現するラインが得られた.今後は後者の形質転換植物を用いて解析を進めていく予定である.
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Research Products
(1 results)