2000 Fiscal Year Annual Research Report
黄色植物の起源的生物,ラビリンチュラ類の系統および分類に関する研究
Project/Area Number |
12740475
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
本多 大輔 甲南大学, 理学部・生物学科, 講師 (30322572)
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Keywords | ラビリンチュラ / 無菌培養株 / 脂肪酸組成比較 / 高度不飽和脂肪酸 / 生活史 / 分子系統解析 / 分類 |
Research Abstract |
培養株の確立:分離方法の検討を行い,沖縄県,静岡県からスラウストキトリウム科135株,ラビリンチュラ科9株の培養株を確立することに成功した。 脂肪酸組成比較:今回確立したスラウストキトリウム科の94株について脂肪酸分析を行い,特に高度不飽和脂肪酸の組成を比較した。全体は7つの組成タイプに分かれた。これら7つの脂肪酸組成タイプを作業仮説的なグループとし,それぞれから適当な株を選択して詳細な系統・分類学的解析を行うこととした。まず, Schizochytrium limacinumと同じタイプである静岡県浜名湖から分離されたHmB3株を実験対象株として選択した。 生活史と各ステージの形態比較:HmB3株の栄養細胞には,星形細胞を経て遊走子を放出する様式と,一度アメーバ細胞へと変態した後で遊走子へと再度変態する様式が見られた。この生活史パターンと各ステージの形態やサイズはUlkenia visurgensisと類似するものであった。 分子系統解析:HmB3株の18S rRNA遺伝子の塩基配列決定を行い,既知の配列と共に分子系統解析を行った。HKY85モデルによる遺伝距離から近隣結合法で系統樹を構築させたところ,HmB3株はThraustochytrium pachydermumと単系統群を形成し,その統計学的な支持率も高かった。しかし,Schizochytrium limacinumとUlkenia visurgensisとは近縁性を示すものではなかった。 現時点のまとめ:上記3種の中にはHmB3株と総合的に一致するものが見られないので,現段階での同定・分類をすることを保留した。今後は詳細に調査する材料を増やし,さらに微細構造比較も行うことでラビリンチュラ類全体の分類体系の見直しを行っていく予定である。
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Research Products
(2 results)