2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12750122
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Research Institution | Akashi National College of Technology |
Principal Investigator |
加藤 隆弘 明石工業高等専門学校, 機械工学科, 講師 (60270302)
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Keywords | 固体潤滑 / グラファイト / 二硫化モリブデン / 赤外線加熱 |
Research Abstract |
固体潤滑膜を形成する方法の一つとしてレーザクラッディング法がある.しかしレーザ加工機は,設備・メインテナンスが割高で,大型になるというデメリットがある.そこで本研究では,レーザ照射を単なる高密度の熱エネルギの入力と考え,装置としては比較的簡単な赤外線放射加熱装置により固体潤滑膜の形成を試みた. 固体潤滑剤であるグラファイト(C)と二硫化モリブデン(MoS_2)の混合粉末を,ステンレス鋼(SUS316)基板表面に塗布し,この粉末塗布層表面に赤外線放射加熱装置を用いて,集光させた赤外線を照射し,被膜を作製した.このとき,照射電流と時間を種々変化させて,被膜の形成条件を変化させた.被膜の摩擦特性は,直径6mmの軸受用鋼球(SUJ2)との往復動すべり摩擦試験により評価した.試験条件は,接触荷重8.8N,往復幅5mmとした. これらの実験により,被膜の形成条件と摩擦摩耗特性を検討した結果,以下のことがわった. 1.基板表面に塗布したグラファイトと二硫化モリブデンの混合粉末に赤外線を照射することにより,複合固体潤滑膜の形成が可能である. 2.赤外線照射時の適切な電流値と照射時間の組合せにより,潤滑性と耐久性をあわせもつ被膜を形成することができる. 3.潤滑性を有する被膜には,グラファイトと二硫化モリブデンが含まれ,これらが多くなると耐久性か向上する. 4.照射される熱エネルギか過剰になると,潤滑性に悪影響を及ぼす酸化物を多く含む被膜が形成され,潤滑性は低下する. 5.本実験において,最も耐久性に優れた被膜は摩擦係数0.2以下の状態が,約20,000回継続した.
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