2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12750127
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
徳増 崇 東北大学, 流体科学研究所, 助手 (10312662)
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Keywords | 気泡核 / 分子動力学法 / 状態線図 / 相平衡 |
Research Abstract |
本研究は分子動力学法を用いて極低温流体中の気泡生成を数値的に再現し,その初期気泡生成のメカニズムについて解析を行うものである.本年度は極低温流体として液体酸素を仮定し,その液体状態を数値的に再現し,液体酸素の二原子分子としての性質が液体の安定限界に及ぼす影響について解析を行った.また酸素分子を単原子分子とみなした系の計算も行い,二原子分子液体酸素の結果との比較を行った.まず分子動力学法を用いて単原子液体と二原子液体の熱力学的安定限界の比較を行い,分子の内部自由度の熱力学的安定限界に及ぼす影響について解析を行った.酸素分子を単原子分子とみなしたときのポテンシャルとしてはLJポテンシャルを用いた.また酸素分子を二原子分子とみなしたときのポテンシャルには2CLJモデルを用い,そのポテンシャルパラメータは2CLJの配向平均したポテンシャルが単原子分子のポテンシャルと等しくなるように設定した.その結果,酸素分子のポテンシャルパラメータはσ_α=3.47×10^<-10>m,ε_α=14.7×10^<-22>Jと決定した.また周期境界条件を用いて液体状態をシミュレートするプログラムを作成し,このポテンシャルにより支配される単原子液体と二原子液体を様々な温度,圧力においてそれぞれシミュレートし,そのデータを用いて各液体の状態線図状態線図を作成した.またその状態線図から各液体のスピノーダル線を求めてそれらの違いについて考察した.その結果,二原子分子液体は分子配向の自由度があり,r<1.1の領域でエネルギー的に安定な分子配向を取るため二原子分子液体の熱力学的安定限界は単原子液体のそれに比べより同温度でより低圧,高密度側にシフトすることが明らかとなった.
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