2000 Fiscal Year Annual Research Report
台湾ヤミ族における集住の場所論的構造とその近代化に関する研究
Project/Area Number |
12750574
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
足立 崇 大阪産業大学, 工学部, 助手 (80309179)
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Keywords | 台湾 / ヤミ族 / 場所論 / 住まい / 建築論 |
Research Abstract |
今年度は5月に台湾蘭嶼でのフィールド調査を行い、飛魚漁期における住居レベル、集落レベルでの場所秩序の変化について調査した。今年度の研究実施計画にも記したように、飛魚漁期には石と竹が、諸領域を境界づけるものとして多く用いられる。そうした石と竹に関わる境界の意味について調査を行う予定であったが、これについては竹の棒が主屋vahayにおける男性の側と女性の側とを分かつ境界として用いられていること、さらにそれが天界からやってくるとされる飛魚などを調理する炉を隔離することととも関わっていることを調査し明らかにした。また、飛魚漁期において飛魚を港から主屋vahayまで持ち帰るときに通る路の規定について調査する予定であったが、これについては、こうした路が葬送儀礼に置いて主屋vahayから墓地に遺体を運ぶときに通る路と同じであること、さらに主屋vahayの落成礼において他集落の客人がやってくるときに通る路と同じであることを調査によって明らかにした。 そして、7月にそれらの調査結果を整理し論文にまとめ日本建築学会計画系論文集に投稿し、同論文集2001年1月号に掲載された。そこでは、ヤミ族の生活行為や住まいの場所秩序が大きく変化する飛魚漁期に着目し、その変化の意味について明らかにした。主屋vahayにおいて、domavakという場所は通常家長の定位する中心の場所であった。しかし飛魚漁期になると家長がそこから変位し、そこは空けられ、男性の側と女性の側との境界となった。domavakにおいて中心と境界の意味がそのように交互に変換付与されることによって、その場所の中心性が新たにされることを明らかにした。
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Research Products
(1 results)