2000 Fiscal Year Annual Research Report
特異な層状構造を利用したビスマス層状強誘電体の材料設計
Project/Area Number |
12750595
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野口 祐二 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (60293255)
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Keywords | 強誘電体 / 結晶構造 / ビスマス層状構造強誘電体 / 残留分極 / 抗電界 / リートベルト解析 / 不揮発性メモリー / 分極疲労 |
Research Abstract |
次世代のコンピュータに搭載されるメモリとして、強誘電体メモリが期待されている。これは、DRAMのキャパシタの部分を強誘電体で置き換えたものであり、電圧をオフにしても電荷が蓄えられるという強誘電体の分極特性を利用した究極の不揮発性メモリとして位置づけられている。強誘電体には、大きい分極をもつこと、低い電圧で動作すること、電圧の反転により分極が劣化しないことが要求される。現在もっとも有望な強誘電体は、Bi層状構造をもつSrBi_2Ta_2O_9(SBT)である。しかし、残留分極値が小さいという欠点がある。 本申請者は、新規な不揮発性メモリ材料の探索・設計を目的として、リートベルト法によりBi層状構造酸化物の結晶構造解析を行い、強誘電物性との相関を明らかにしてきた。その中で、特異な層状構造をもつ交代層化合物がSBTの2倍の残留分極値をもち、かつ電界の反転に伴う分極の疲労が全くないことを発見した。交代層酸化物は、mの異なるペロブスカイト層が交互に積層した構造をもつ。この特異な構造をもつ化合物は、m=3のBi_4Ti_3O_<12>(BIT)とm=4のSrBi_4Ti_4O_<15>(SBTi)が交互に積層した自然超格子構造をもつ酸化物である。BITは、残留分極値は大きいものの、繰り返し作動による分極の劣化が著しいことから、実用材料としては考えられていなかった。本申請者は、BITとSBTiが交互に積層した交代層構造の形成により、単体よりも残留分極値が大きく、かつ分極疲労が全くない材料の開発に成功した。また、中性子および放射光を利用した精密構造解析により、単体よりも大きな残留分極を示すのは、従来常誘電層として考えられていた酸化ビスマス層のBiイオンが、分極方向に大きく変位していることに起因することを突き止めた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Y.Noguchi,M.Miyayama,T.Kudo: "Structural and Dielectric Properties of Intergrowth Bi_4Ti_3O_<12>-SrBi_4Ti_4O_<15> Ceramics"Transactions of the Materials Research Society of Japan. 125・1. 185-188 (2000)
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[Publications] Y.Noguchi,M.Miyayama,T.Kudo: "Analysis of Crystal Structure by the Rietveld method and Ferroelectric Properties of Sr_<1-x>Bi_<2+x>Ta_2O_9"Key Engineering Materials. 181-182. 209-212 (2000)
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[Publications] Y.Noguchi,M.Miyayama,T.Kudo: "Effect of Bi substitution at the Sr site on the ferroeletric properties of dense strontium bismuth tantalate ceramics"Journal of Applied Physics. 88・4. 825-827 (2000)
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[Publications] Y.Noguchi,M.Miyayama,T.Kudo: "Ferroelectric properties of intergrowth Bi_4Ti_3O_<12>-SrBi_4Ti_4O_<15> ceramics"Applied Physics Letters. 77. 3639-3641 (2000)
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[Publications] Y.Noguchi,I.Miwa,Y.Goshima,M.Miyayama: "Defect Control for Large Remanent Polarization in Bismuth Titanate Ferroelectrics-Doping Effect of Higher-Valent Cations-""Japanese Journal of Applied Physics (Express Letters). 39. 1259-1262 (2000)
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[Publications] Y.Noguchi,M.Miyayama: "Large remanent polarization of vanadium-doped Bi_4Ti_3O_<12>"Applied Physics Letters. 78-13. 1948-1950 (2001)