2000 Fiscal Year Annual Research Report
可溶性キチン誘導体をベースとした新規生分解性高分子複合材料の開発
Project/Area Number |
12750804
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Research Institution | Tomakomai National College of Technology |
Principal Investigator |
大島 和浩 苫小牧工業高等専門学校, 物質工学科, 助手 (30321368)
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Keywords | キチン / キトサン / 高分子ブレンド / 相溶化 / 生分解性高分子 |
Research Abstract |
キチン(東京化成製)をHackman法により精製、これを原料としてプロピレンオキシドを用いてヒドロキシプロピル化を行い、種々のモル置換度のヒドロキシプロピルキチン(HPCh)を合成した。側鎖モル置換度(MS)は^1H NMR測定から決定し、本研究で得たHPChのモル置換度は2.1〜3.0である。本研究で合成したHPChは置換度によらず純水に易溶であり、アセトン、クロロホルム、THFなど汎用有機溶媒に不溶であった。 純水を共通溶媒としてHPCh/ポリビニルアルコール(PVA)ブレンドをキャスト法にて作製し、DSC測定による相溶性の検討を行った。作製したブレンドはHPCh置換度、組成によらず肉眼観察下に白濁しており、DSC測定においてもブレンド内PVAに由来するTg,融点の変化は認められず、両成分は非相溶であることが明らかとなった。 上述同法により、キチンの脱アセチル化体であるキトサン(片倉チッカリン製)を用いてヒドロキシプロピルキトサン(HPCt)を合成し、PVAとのブレンド作製および相溶性検討を行った。高置換度(MS=2.8)HPCt/PVAブレンドではHPCh系同様に非相溶であったのに対し、低置換度(MS=2.1)HPCtを一成分としたブレンド系ではDSCサーモグラムにおいてPVATgのHPCt含有組成増大に応じた系統的上昇、ならびに融点の低下と結晶性の消失が認められ、両成分は非晶領域において良好な相溶状態あることが示された。すなわち、HPCt/PVAブレンドの相溶化には、側鎖置換度および連鎖の制御が重要であると考えられ、現在その詳細について検討を行っている。 今後は作製したHPCt/PVAブレンドの生分解性について土壌分解試験を行いその分解速度、形態について明らかとする。さらに、有機溶媒に可溶となるであろう高置換度HPCh,HPCt合成を試み、ポリカプロラクトンを初めとする他生分解性高分子との複合化へと展開する予定である。
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