2000 Fiscal Year Annual Research Report
アンモニアリーチングによる焼却灰中重金属の除去・回収
Project/Area Number |
12750824
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
広吉 直樹 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50250486)
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Keywords | 焼却灰 / 重金属 / リーチング / アンモニア / 除去・回収 / 酸浸出 / 飛灰 / 都市ゴミ |
Research Abstract |
都市ごみ焼却灰は,1000〜10000ppm程度の重金属(Cu,Pb,Znなど)を含んでおり、埋立地周辺の土壌・地下水汚染を引き起こす潜在的可能性を持っていることから,重金属の除去・回収が望まれている。本研究では、焼却灰中重金属の除去・回収法として,アンモニアリーチングを適用することを提案し,その実用化の可能性を検討する。本年度は、札幌市内の都市ゴミ焼却施設より採取した飛灰を試料に用いて浸出試験を行なった。 比較のため,従来から用いられている酸浸出法についてまず検討した。酸無添加の場合,浸出液は飛灰からのアルカリ分の溶出によって強いアルカリ性(約pH13)を示すが,塩酸あるいは硝酸添加量を増すとpHは低下し,pH6以下の酸性領域でCu,Pb,Zn,CdおよびCrが溶出してきた。また、Al,FeおよびCaも酸性領域で溶出してきた。これらの金属類が飛灰中で酸化物として存在しているものと仮定して,各金属の溶出に伴う酸の消費量を計算したところ,例えば硝酸添加濃度1kmolm^<-3>の場合,重金属(Cu,Pb,Zn,CdおよびCr)の溶出には全酸添加量の約2%が用いられているにすぎず,残りはAl,FeおよびCaの溶出で消費されていることが明らかとなった。 硫酸アンモニア溶液中で飛灰の浸出試験を行なったところ,溶液中のNH_4^+が飛灰から溶出してくるアルカリ分と反応してNH_3となり,pH10程度のアルカリ領域においてCu,ZnおよびCdがアンミン錯体を形成して溶出してきた。一方,Al,Fe,PbおよびCrはアンミン錯体を形成しないので溶出してこなかった。浸出残渣からのPbの溶出特性を種々のpHで調べたところ,硫酸アンモニウム溶液中で処理した飛灰の浸出残渣から溶出してくるPbの溶出量は,未処理の飛灰からのそれの約10分の1であった。これは,硫酸アンモニア溶液中で飛灰を処理した際に不溶性のPbSO_4が形成されるためと推察される。
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