2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12760110
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
伊東 明 大阪市立大学, 理学部, 講師 (40274344)
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Keywords | 挿木 / 発根 / 熱帯林 / 苗木 / フタバガキ / 生態系修復 / サラワク / タイ |
Research Abstract |
熱帯林再生に必要な挿木による苗木生産技術確立のための生態学的基礎データを得る目的で、1)生態特性データに基づいた熱帯雨林樹種の挿木発根能力予測モデルの開発、2)サラワク熱帯雨林の樹種を用いたモデルの検証、3)タイ北部熱帯季節林における同様のモデル開発ためのデータ収集、を骨子とした調査研究を行った。本年度の実績は次の通りである。1)については、サラワク混交フタバガキ林の面積52haの永久調査区の毎木データおよび同調査区内に出現する100種の挿木実験のデータに基づいて、生態特性と挿木発根能力の関係を解析した。その結果、66樹種の挿木で発根可能なこと、発根能力と種の形態および生育地の特性に有意な関係があることが明らかになった。これにより、種の形態および生育地特性から挿木可能性レベルがある程度推定できることがわかった。これらの結果は、論文にまとめて、現在、Forest Ecology and Management誌に投稿中である。2)については、サラワク州における生物多様性に関する法令が厳しくなったことにより、新たな挿木の採取が困難となったため、今年度は新たな実験の実施を見送らざるを得なかった。3)については、タイ北部チェンマイ近郊のメイジョー大学演習林内の乾燥フタバガキ林に面積1haの調査区を設置し、胸高直径1cm以上の全ての樹木の毎木調査を終了した。また、調査区内に出現するフタバガキ科4種について、挿木実験および萌芽実験を実施した。いずれの種も旺盛な萌芽能力を持っていたが、挿木は全く発根しなかった。この結果は、熱帯雨林樹種で見られた、萌芽能力と挿木発根能力の間の正の関係と大きく異なっており、今後、挿木の時季や方法の検討などを行い、熱帯季節林樹種の挿木発根能力についてのデータを蓄積する必要がある。
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