2000 Fiscal Year Annual Research Report
ストレスに応答する脳内新規遺伝子群の免疫修飾における役割の解析
Project/Area Number |
12760191
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
北村 浩 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助手 (80312403)
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Keywords | ストレス / 新規遺伝子 / 炎症 / 脳 / MAIL / SSeCKS |
Research Abstract |
生体に心理的、肉体的なストレスが負荷されると、下垂体-副腎皮質系及び交感神経系を介して免疫機能が変化することはよく知られている。そこで研究者はこれらの反応に関わる脳内の分子機構を明らかにするために、大腸菌菌体内毒素投与(LPS)などのストレスをマウスに負荷した後に発現量が変化する脳内遺伝子を検索し、45個の候補遺伝子を見出した。本年度はこの中でも顕著に増加したクローン131.5と142.5について、以下の検討を行った。 1、131.5及び142.5の塩基配列決定と抗体、発現ベクターの作製。 cDNAライブラリーを用いて131.5及び142.5のmRNA配列を決定した。131.5はラットでクローニングされているSSeCKSの異種ホモローグであった。また、142.5は新規のIkB様のアンキリンリピートタンパク質であり、Molecule possessing Ankyrin-repeats Induced by LPS(MAIL)と名付けた(FEBS Lett)。それぞれの組み換えタンパク質をウサギに免疫し、抗体を作製した。また、これらやこれらの変異体やアンチセンス鎖を発現するベクターを構築した。 2、SSeCKSおよびMAILの脳内発現パターンの解析。 1で明らかとなったcDNA配列を元にオリゴヌクレオチドプローブを作製し、in situハイブリダイゼーション法で脳内での発現部位を調べた。SSeCKSは脳軟膜、微小血管に加えて、コルチコトロピン放出ホルモンニューロンの豊富な視床下部室傍核付近に強いシグナルが見られた。また、142.5は脳軟膜に強いシグナルが、海馬の顆粒細胞に弱いシグナルがそれぞれ見出された。 3、MAILの機能解析。 MAILの細胞内局在を蛍光タグ付き発現ベクターを用いて調べたところ核に局在することが明らかとなった。またこの遺伝子を導入した細胞では、種々の中枢作用を有するインターロイキン6の産生能が高まることが明らかになった(FEBS Lett)。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Hiroshi Kitamura: "MAIL, a novel nuclear IkB protein that potentiates LPS-induced IL-6 production"FEBS Letters. 485・1. 53-56 (2000)
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[Publications] Masaru Iwai: "Increased secretion of tumor necrosis factor and interleukin6 from isolated, perfused liver of rats after partial hepatectomy"Cytokine. 13・1. 60-64 (2001)
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[Publications] 北村浩: "バイオメティックスハンドブック"エヌティーエス. 1139 (2000)