2000 Fiscal Year Annual Research Report
視床下部腹内側核に由来する走行運動に対するエストロゲンの関与
Project/Area Number |
12770030
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
成田 和巳 福井医科大学, 医学部, 助手 (80270958)
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Keywords | ラット / 視床下部腹内側核 / エストロゲン / カイニン酸 / 走行運動 / 自発運動 / 歩行運動 |
Research Abstract |
エストロゲンは哺乳類の雌に生殖活動を達成するための様々な変化を引き起こす.ラットにおいてはエストロゲンが視床下部腹内側核(VMH)に作用しロードシスなど性行動発現を起こりやすくすることが明らかとなっている.すなわちVMHはエストロゲンの中枢内作用部位であると考えられている.また報告者はVMH内のカイニン酸(KA)感受性神経細胞は走行運動の発現に関与することを明らかとしてきた.そこで本研究ではラットを用いVMH由来の走行運動に対するエストロゲンの与える影響の解明を行った.まず卵巣摘出を行いエストロゲン入りシリコンチューブを皮下に埋めた群(OVX+E),または卵巣摘出のみ(OVX)の群の片側VMHにKAを投与し自発運動の発現を測定した.その結果,走行運動発現量はOVX群とくらべOVX+E群の方が少ない傾向が認められた.VMHは存在する神経細胞の密度より背内側部(VMHDM)および腹外側部(VMHVL)の二領域に分けることが出来る.そこでKAの投与部位と走行運動発現量を検討したところ,OVX群ではVMH内の両部位においてKA投与により同等の走行運動が発現された.一方,OVX+E群ではKA投与により引き起こされる走行運動量はVMHDMに投与された場合よりVMHVLに投与された場合の方が有意に少なかった.さらに正常性周期を回帰している雌ラットのVMHにKAを投与し,引き起こされる走行運動量とVMH内の投与部位の関係を検討した.その結果,発情前期,発情期,非発情期1日目においてはVMH内の両部位へのKA投与により引き起こされる走行運動量の部位差は認められなかった.一方,非発情期2日目ではVMHVLにKAを投与した時に引き起こされる走行運動量はVMHDMにKAを投与した場合と比べ有意に少なかった.以上よりVMH,特にVMHVLのKA感受性で走行運動の発現に関与する神経細胞の興奮性はエストロゲンによる調節を受けていることが考えられた.
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