2000 Fiscal Year Annual Research Report
プロスタサイクリンの新しいシグナル伝達系とその役割の解明
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12770066
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
波多江 利久 国立循環器病センター研究所, 薬理部, 室員 (10251026)
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Keywords | プロスタサイクリン / 核内受容体 / シグナルトランスダクション / アポトーシス / Gタンパク共役型受容体 |
Research Abstract |
プロスタサイクリン(PGI)は,アラキドン酸からシクロオキシゲナーゼ(COX)およびPGI合成酵素(PGIS)により作られるエイコサノイドで,大変強力な血管拡張作用および血小板凝集阻害作用を有し、血管壁表面での血栓形成防御など抗動脈硬化性作用を有する心血管・循環器系の制御に重要なオータコイドである。しかし、これらの作用以外にPGIは、痛覚伝達、細胞増殖制御、アポトーシス制御への関与など、多彩な作用を有することが次第に明らかになってきた。従来、PGIは、細胞膜上のGタンパク共役型受容体を介して情報を伝達することが知られていたが、最近、我々は核内受容体ファミリーのひとつPPAR-δが、細胞内でPGISにより生合成されたPGIの受容体として作用することを明らかにした。また、PPAR-δにおいて、他のPPARのサブファミリーとの間で保存性が高い、AF-2領域Helix12に部位特異的変異を導入した結果、合成リガンドに対してドミナントネガティブ受容体となった。さらに、細胞内で生合成させたPGIに対しても同様な性質を示すことを明らかにした。これらの結果から、この領域がPGIシグナル伝達にも重要であることが明らかとなった。また、野生型およびドミナントネガティブ型受容体を用いた解析によりPGIの新しい情報伝達が明らかになりつつある。 本年度の結果について現在、投稿中・1報、および投稿準備中・2報。
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