2000 Fiscal Year Annual Research Report
性ステロイド依存性腫瘍におけるプロゲステロン局所調節機構の解析
Project/Area Number |
12770079
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 貴 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (10261629)
|
Keywords | プロゲステロン / 5α-reductase / 乳癌 / 子宮内膜癌 |
Research Abstract |
平成12年度は、肝外末梢組織におけるプロゲステロン代謝経路を同定するために、3種類の培養細胞株(U937、HL60、THP-1)を用いて、プロゲステロン代謝産物の同定と代謝経路の検討を行った。その主な結果は下記の如くである。 検索したいずれの培養細胞においても、プロゲステロンは5α-pregnan-3,20-dioneに代謝された後、5α-pregnan-3β-ol-20-oneを経由して最終的に5α-pregnan-3β,6α-diol-20-oneに代謝された。従って5α-reductionが初めの反応であると考えられた。Northern analysisでは5α-reductase type 1のmRNAが検出された。またU937cellでは、一部のプロゲステロンは4-pregnen-20α-ol-3-oneに変換後代謝され、20α-reductionを初めのステップとする代謝経路の存在も同定された。クローニングの結果、この20α-reductionを行う酵素はhuman hepatic bile acid-binding proteinであることも明らかとなった。 以上の所見から、プロゲステロンは肝外末梢組織において、主に5α-reductaseによって不活化されることが明らかとなった。そこで平成13年度は、乳癌及び子宮内膜癌病理組織標本を用いて5α-reductase isozymesの組織内発現を明らかにするとともに、各症例における他のステロイド合成酵素の発現パターン、estrogen receptor α,β及びprogesterone receptor A,Bの発現、臨床的予後等、種々の臨床病理的因子と比較し、5α-reductaseの局所的役割について総合的に解析する予定である。
|