2001 Fiscal Year Annual Research Report
消化管機能異常症の病態生理に関する神経内分泌学的検討
Project/Area Number |
12770246
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
野津 司 北海道大学, 医学部・附属病院, 助手 (30312367)
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Keywords | 過敏性腸症候群 / barostat / 内臓知覚 / corticotropin releasing factor / ストレス / ドクターショッピング |
Research Abstract |
Barostalを使用しヒトの直腸感覚機能を評価した.まず健常者14人(男6,女8)を使い,直腸の痛覚閾値圧を測定し,性差がないことを明らかにした.過敏性腸症候群(IBS)患者7人,functional abdominal pain(FAPS)患者6人に対しても同様な測定を行った.平均値を3群で比較すると,健常群とFAPS患者群では差を認めなかったが,IBS群は有意に痛覚閾値圧の低下を認めた.次に同じ被験者にストレス(反復直腸痛覚伸展刺激)を負荷した後,同様に直腸痛覚閾値圧を測定した.健常者,FAPS患者ではストレス前後で測定値に変化を認めなかったが,IBS患者では全例でストレスにより測定値が低下し,直腸感覚の過敏を認めた.ストレスによる痛覚閾値圧の低下は,IBS群のみで認められ,統計学的にも有意であった. 次に健常者10人を無作為に5人ずつ2群に分け,一方にはCRF(100μg)を,もう一方には生理食塩水を静脈内投与して,上と同様な測定を行った.CRF投与群ではストレス負荷によりIBS群で認められたような,直腸感覚の過敏が全例で認められ,統計学的に有意であった.以上より,ストレスによって誘導される直腸感覚の過敏は,IBSに特異的で,信頼できるマーカーであり,その病態に深く関与していると考えられた.またこの現象は,健常人にCRFを投与することで同様に誘導されることから,このホルモンが何らかの役割を担っているものと考えられる.IBSを含む消化管機能性異常症患者63人を対象に,臨床研究を行い,本疾患が患者QOLに与える影響が極めて大であること,経済的な損失も大きいことを明らかにした.また本疾患患者ではいわゆるドクターショッピングの患者がきわめて多く(医療費の高騰に直結する),消化器内科医も本疾患に対する認識がきわめて低いこと(消化器内科医30人に対するアンケート調査)も明らかとなった.
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Research Products
(1 results)