2000 Fiscal Year Annual Research Report
慢性アルコール性膵炎における膵障害及び膵石形成機序の解明に関する研究
Project/Area Number |
12770247
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
和田 佳緒利 旭川医科大学, 医学部, 助手 (20312473)
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Keywords | 慢性アルコール性膵炎 / 膵外分泌障害 / 膵石 |
Research Abstract |
【実験1】慢性アルコール摂取ラット膵液中の活性型LSとGP-2の測定 Wister系雄性ラットを2週間(n=4)と4週間(n=4)の2群に分けて、アルコール含有液体飼料を用いて、慢性アルコール摂取ラットを作製した。アルコール負荷後、既報の方法で膵管に挿入したポリエチレンチューブより3時間に渡って膵液を採取し、基礎分泌膵液中の活性型LSとGP-2分泌量を測定した。対照群としてアルコールを含まない液体飼料を摂取させたラット(2週間群n=4,4週間群n=4)で同様のモデルを作製した。対照群の基礎分泌膵液中の活性型LSと比較すると、2週間群、4週間群ともに差を認めなかった。GP-2は対照群に比べて、4週間群のうちのn=2で増加していた。 【実験2】慢性アルコール摂取ラットの膵外分泌機能の検討 対照群に比べ、アルコール摂取4週間群は、基礎分泌膵液においては差を認めなかったが、消化管ホルモン刺激下での膵液分泌量、アミラーゼ、リパーゼ、トリプシン分泌量、重炭酸分泌量の増加率はともに低い傾向を認めた。2週間群においては、差を認めなかった。 【実験3】慢性アルコール摂取ラットの膵の組織学的検討 対照群に比べ、アルコール摂取4週間群では、膵湿重量は軽度の減少を認めたが、組織学的には膵線維化の変化を認めなかった。2週間群と対照群では変化を認めなかった。 【まとめ】 現在までの検討で、アルコール摂取期間が長い群において、対照群に比べ基礎分泌膵液中のGP-2分泌量の増加、消化管ホルモン刺激下での膵外分泌機能が低下している傾向を認めた。検討した個体数が少ないこともあり統計学的有意差が出るまでの結果に至っていない。アルコール摂取期間の長短によっても膵外分泌障害の程度や蛋白栓形成の傾向の相違がある可能性もあり、今後個体数を増やし検討する。
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