2000 Fiscal Year Annual Research Report
胆道系悪性腫瘍における増殖・転移機構の解析を目指して
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12770261
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
土田 明 広島大学, 医学部・附属病院, 助手 (80294586)
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Keywords | 胆道系悪性腫瘍 / 胆嚢癌 / VEGF / PD-ECGF / 血管新生 |
Research Abstract |
胆嚢がんの予後を規定する重要な因子として、血行性転移と肝臓への浸潤があげられる。このことから、血管新生あるいは浸潤能の獲得は、本症の重要な予後因子となることが予想される。そこで我々は、胆嚢がんにおける血管新生因子の関与を明らかにする目的で、手術的に得られたヒト胆嚢がん組織標本と新鮮凍結組織検体を用いて検討を行った。 まず、ヒト胆嚢がんにおける血管内皮増殖因子(VEGF)蛋白の発現を免疫染色法で検討したところ、胆嚢がん118例中107例で腫瘍部に過剰発現を認めた。一方対照の正常胆嚢組織では過剰発現は認めなかった。腫瘍内血管密度を算出し、VEGF蛋白との関連を調べたところ、VEGFの発現と血管密度の間には有意な正の相関を認めた。また、ヒトVEGF-cDNAの配列から特異的プローブを作成し、VEGF-mRNAの発現をIn situ hybridization法で検討したところ、mRNAの発現は蛋白の発現パターンと強い関連を認めた。このことは、ヒト胆嚢がんにおいて、VEGFが血管新生に深く関与していることを示している。 次に、血管新生因子として注目されているPD-ECGFの発現を免疫染色とELISAで検討を行った。その結果、腫瘍組織内のPD-ECGFの発現は、胆嚢がんの進達度・リンパ節転移・総合的進行度と関連を認めたが、意外にも腫瘍内血管密度との関連は認めなかった。がん周囲の炎症細胞が発現しているPD-ECGFの発現を検討し血管密度との関連を調べてみたが、関連を認めることはできなかった。胆嚢がんにおいて、PD-ECGFは腫瘍の増生・浸潤と深く関与しているが、血管新生とは直接的な関連を持っていない可能性が示された。 今後も、胆道系悪性腫瘍における増殖・転移機構の解析を目指して、引き続き症例を重ねて検討を行っていく予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] S.Yamamoto,A.Tsuchida 他4名: "Expression of vascular endothelial growth factor in human gallbladder lesions"ONCOLOGY REPORTS. 5. 1065-1069 (1998)
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[Publications] S.Yamamoto,A.Tsuchida 他4名: "Expression of platelet-derived endothelial cell growth factor/thymidine phosphorylase in human gallbladder lesions"European Journal of Cancer. 36. 257-263 (2000)