2000 Fiscal Year Annual Research Report
単球と血管内皮の相互作用における細胞内シグナル伝達機序
Project/Area Number |
12770349
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
高橋 将文 自治医科大学, 医学部, 講師 (40296108)
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Keywords | 動脈硬化 / 血管炎 / 単球 / 血管平滑筋 / サイトカイン / 細胞内シグナル伝達 |
Research Abstract |
単球やリンパ球といった血液細胞と血管内皮、血管平滑筋細胞といった血管壁細胞との相互作用は、動脈硬化や血管形成術後の再狭窄、血管炎などの状態において重要である.我々は、単球と血管内皮との相互作用が種々の接着分子や動脈硬化性サイトカインの発現を誘導することを報告してきた.今回、本研究をさらに発展させ、単球(Mo)と血管平滑筋細胞の相互作用による血管新生因子の発現について検討した.THP-1由来の単球(Mo)をヒト培養血管平滑筋細胞(SMC)と共培養すると血管新生に機能する血管内皮増殖因子(VEGF)と肝細胞増殖因子(HGF)の発現が亢進した.これらの因子は上清中にも時間およびMo細胞数依存性に産生され、免疫染色によりその産生細胞がMoとSMCの両方であることが示された.このVEGFの産生は、IL-6の中和抗体により有意に抑制されたが、IL-1βやTNFαといった他の炎症性サイトカインの中和抗体では抑制されなかった.一方、HGFの産生は、IL-6、IL-1β、TNFαそれぞれの中和抗体によって有意に抑制された.また、細胞内シグナル分子の阻害剤による検討では、このHGF産生がCキナーゼ(PKC)の阻害剤であるH7およびcalphostin C、チロシンキナーゼの阻害剤であるgenisteinによって有意に抑制されたことから、PKCとチロシンキナーゼの経路を介している可能性が示唆された.以上のことより、単球と血管平滑筋細胞との相互作用によりVEGFやHGFといった重要な血管新生因子が発現、産生され、動脈硬化や血管炎などの病態に関与してる可能性が示された.さらに、単球と血管平滑筋との相互作用によるこれら2つの血管新生因子の発現はそれぞれ異なった機序で発現してくることが示唆された.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Y.Hojo,M.Takahashi, et al.: "Interaction between monocytes and vascular smooth muscle cells induces vascular endothelial growth factor expression."Atherosclerosis. 150. 63-70 (2000)
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[Publications] Y.Zu,M.Takahashi, et al.: "Interaction between monocytes and vascular smooth muscle cells enhances matrix metalloproteinase-1 production."J Cardiovas Pharm. 36. 152-161 (2000)
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[Publications] M.Okada,M.Takahashi, et al.: "Interaction between human monocytes and vascular smooth muscle cells induces hepatocyte growth factor expression."J Hypertens. 18. 1825-1831 (2000)
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[Publications] Y.Hoji,M.Takahashi, et al.: "Matrix metalloproteinase-1 expression by interaction between monocytes and vascular endothelial cells."J Mol Cell Cardiol. 32. 1459-1468 (2000)