Research Abstract |
6ヶ月以上標準的治療に抵抗性の慢性蕁麻疹患者を選定し,ELISAにより,抗H.pylori-IgG抗体を調査し,慢性蕁麻疹患者における陽性率を検討した。結果:IgG型抗体陽性率は,19名(54%)と半数以上を占めた。このうち14名に,H.pyloriの除菌療法を施行した。蕁麻疹への効果判定は,CR:4名(29%),PR:4名(29%),NC:6名(43%)であり,CR+PRは58%であり,H.pyloriと慢性蕁麻疹の関連性を示唆した。しかし,抗H.pylori-IgG抗体陽性例では,効果を示さない場合があり,発症機序に免疫応答特に,特異IgE抗体の関与に注目した。 患者選定に,RAST開発が有用と考え,アレルゲンディスクの作成のために,慢性蕁麻疹患者の血清を用い,抗H.pylori-IgE抗体をELISAにより測定した。方法:患者血清を10倍希釈し,ウリネリザH.pylori-IgG測定キットの抗原プレートでインキュベート。キャップRASTFELA酵素標識抗ヒトIgE抗体で,一晩放置した。酵素反応を行い,FC96で蛍光強度を測定した。判定は,健常者検体5例のカウント平均値の2倍以上を陽性とした。結果:陽性者は1/13(7.7%)。また,成人型アトピー性皮膚炎では,4/32(12.5%),全身性皮膚そう痒症は,1/9(11.1%)であった。これらの陽性血清を用い,H.pyloriの固相キャップを作成中である。Pityrosporum,Saccaromycesなどの酵母との共通抗原が確認されたため,H.pyloriの蛋白部分に特異的なIgE抗体を保有している血清の収集を開始し,その血清を用い,H.pylori固相作成を検討中である。
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