2000 Fiscal Year Annual Research Report
放射線照射により根治可能癌か否かを判定する、分子生物学的スクリーニング法の開発
Project/Area Number |
12770505
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
篠原 真木子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50317244)
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Keywords | 放射線照射 / アポトーシス / 細胞周期 |
Research Abstract |
<はじめに> 放射線による癌治療に関して、アポトーシスの視点から見た放射線による細胞死の研究が開始され、放射線照射によるDNAの二本鎖切断に起因する増殖死細胞障害が解明されてきた。アポトーシスに関する最近の報告を見ると、他の因子の変動も全てアポトーシスの発現と密接に関連した事象であり、放射線基礎医学においては、ここ数年ではアポトーシスが最大のトピックである。放射線照射による細胞周期変動を見ると、放射線照射によりG2ブロックが起こり細胞周期が延長し、このG2停止期間の間にDNAの修復が行われるといわれている。本年度は放射線照射後のアポトーシス細胞の検出および細胞周期の変化を解析した。 <方法> 使用した細胞は、ヒト乳癌由来MDA-MB231で、ヒトT細胞リンパ腫由来のJURKATをapoptosisのコントロールとして用いた。今回、重粒子線は炭素粒子線を290MeV/uで用いた。ApoptosisはAPO2.7monoclonal antibodyを用いて、flow-cytometerで定量した。 <結果> MDA-MB231に対するX線照射後の細胞周期変化およびapotosis定量では、X線照射後、線量に依存してG2期細胞が増大した。Apotosis細胞は、線量に応じて増大するが15Gy程度の線量で50-60%に達し、その後は増大しなかった。一方で、コントロールとして用いたJURKATでは10Gy程度でほぼ100%のapoptosisを認めた。炭素粒子線照射後の効果は、X線照射後の効果とほぼ同様であった。線量に応じてG2-blockが増大し、またapoptosisは6Gy程度で50-80%に達し以後はほぼプラトーとなった。 <まとめ> 今回cell-cycle changeおよびapoptosis定量を行ったが、測定条件が微妙で、限られた種類の細胞で、しかもX線と炭素粒子線のみの結果しか得られなかった。しかし今回の検討から、apoptosis発現は線量に依存するが、その発生頻度は頭打ちになり、その際の線量はX線と炭素粒子線で3倍近い差異があることがわかった。
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