2000 Fiscal Year Annual Research Report
肝腫瘍に対する加熱食塩水併用ラジオ波焼却術施行中のMRIによる温度測定の試み
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12770506
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
藤原 広和 慶應義塾大学, 医学部・放射線診断科学教室, 助手 (20255558)
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Keywords | ラジオ波焼却 / 肝腫瘍 / MRI温度画像 / MRI位相画像 |
Research Abstract |
1. MRI温度画像の正確性を直接温度測定と比較検討するため、MRI室内に熱伝対を用いた直接温度計測システムを構築した。すなわち、銅-コンスタンタン製の熱伝対を補償導線にて延長し、MRI操作室内に置かれたラップトップコンピュータと、PCカード型データリーダを介して接続し、リアルタイムな直接温度測定ができるように設定した。補償導線による延長のため較正が必要であり、高温槽を用いた比較実験からy=0.9977x+1.9735の関係を得、以後の実験における温度表示の訂正に用いた。 2. 摘出牛肝6例に対してRITA社製システムを用いたラジオ波焼灼をおこない、その過程でspoiled GRASS法を用いた位相画像を撮像し、加熱前の基準画像から対照画像をサブトラクションすることにより周波数差画像を作成した(Phase-mapping method)。Nitinol製の電極は従来の電極に比較し、アーチファクトを低減し、周波数差画像を作成することを可能にした。この周波数差画像上で、熱伝対周囲の3x4 voxel内の平均周波数差と、熱伝対により直接測定された温度との差を比較し、相関関係を求めた。 3. 55℃以下の範囲では温度変化係数はy=-0.0112x(r^2=0.8988)と計算され、比較的良好に一次直線に回帰されたが、55℃を超えた範囲ではデータのばらつきが大きくなり、一次直線に回帰することが困難であった。加熱による気体の発生、組織の膨張などによるアーチファクトが原因と考えられた。 4. ただし、加熱による組織変性は、55℃ないし60℃で起こると報告されているので、組織の熱変性をモニターする上では、MRI温度画像は有用と結論づけられた。 5. 今後、加熱生理的食塩水とRF焼灼を併用した場合のMRI温度画像の正確性を検証し、生理的食塩水を追加した場合の焼却効率をMRI温度画像上で検討する予定である
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