2000 Fiscal Year Annual Research Report
光感受性物質へマトポルフィリンを用いた不安定プラーク形成過程の早期検出および阻害
Project/Area Number |
12770510
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
町田 稔 日本医科大学, 医学部, 助手 (10318529)
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Keywords | ヘマトポルフィリン / 動脈硬化 / 平滑筋細胞 |
Research Abstract |
培養平滑筋細胞を用いて初期動脈硬化巣に対する光線力学的治療の可能性を検討した。培養平滑筋細胞ではリポソーム添加後にリポソームの細胞膜への取り込みが認められ、Arレーザー励起下でHP蛍光スペクトルの赤方偏移が観察された。また、半導体レーザーを用いた吸光度測定ではリポソーム添加群において650nmや660nm付近での吸光度の増加が観察された。熱変性蛋白試験では変性蛋白存在下でHP吸光スペクトルが増加した。培養平滑筋細胞について、コレステロール含有リポソームを添加による細胞膜変化とHPの分布やスペクトル変化をヒト剖検組織の変化と対比して検討した結果、リポソーム付加による細胞膜傷害に伴い細胞内におけるHPの蛍光強度は増加したが、スペクトルの赤方への変位の傾向は組織と差異が認められ、組織と細胞での蓄積や傷害状態に相異が生じていることが考えられた。半導体レーザーを用いた実験ではPhotoproductsに関連するとされる660nm付近の吸光度の増加が観察され、傷害細胞中ではHPがlinear-typeで蓄積が増加していることが示唆された。加えて変性平滑筋細胞での吸光度の増大は細胞の光感受性の増加が生じていると考えられた。蛋白の変性、コレステロール含有リポソームによる細胞の傷害、疎水性増加による逆ミセルの形成により、粥腫中ではHPに対する光感受性の増加が生じ、動脈硬化病巣への光照射によりプラークが安定化する可能性が示唆された。
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