2000 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄間質細胞における新しい血液細胞分化制御遺伝子の同定と機能解析
Project/Area Number |
12770570
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
金城 謙太郎 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90317115)
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Keywords | 骨髄間質細胞 / 分化誘導剤 / 分化遺伝子 |
Research Abstract |
平成12年度の研究成果として、我々はビタミンAの誘導体であり,血球細胞を分化誘導する作用を認めるATRAに注目し,それによって発現が増強される遺伝子の同定を試みた。既知のサイトカインであるM-CSF,GM-CSFの発現調節がATRAによることを既に証明しているために,他の既存のサイトカインについて着目した。また,臨床レベルでは,ATRA投与中の患者においてthrombppoietin(TPO)の発現と血小板上昇の相関を認めたために,TPOに特に着目した。ATRA10^<-6>M存在下、非存在下でヒト骨髄間質細胞株KM101をαMEM培養液で24時間共培養した後にRT-PCR法を用いcDNAを作製した。それらを用いて、Taqman-PCR法によりTPO遺伝子につきmRNAレベルで定量した。ATRA存在下でのTPOの発現は非存在下に比較して約1.5倍の差を認めた。TPOは主として肝臓、腎臓で産生され、血中TPO濃度の調節機構として受動的なスポンジモデルが考えられてきた。一方、肝細胞株HepG2では同様のATRA刺激ではTPOの発現に差異を認めなかった。これらにより、ATRAで誘導されるTPOが血球分化に働く可能性があり、現在TPOのpromoterのdeletion mutantを用いて、ATRAが直接TPOの産生に関与する可能性を探っている。 また、分化に対する未知の遺伝子を同定するために,骨髄間質細胞KM101にRARα,β,γ遺伝子を導入し、安定形質を作成した。Westem Blotでそれら遺伝子を確認した。そこで現在新しい遺伝子の単離と構造決定をするために、現在cDNAライブラリーを作成中である。cDNAライブラリーを作製し,wild typeのKM101とレセプター導入後の細胞間で差違のでる遺伝子を確認していく。それらにより,骨髄間質細胞にATRAにより誘導される新規遺伝子を同定する。
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