2000 Fiscal Year Annual Research Report
慢性腎不全における高リン血症を抑制する新規リン代謝調節ホルモンの機能解析
Project/Area Number |
12770583
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
森田 恭子 徳島大学, 医学部, 助手 (40244777)
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Keywords | 高リン血症 / リン利尿因子 / スタニオカルシン |
Research Abstract |
長期透析における合併症対策は、患者のQOLを左右する重要な問題である。我々は透析時の高リン血症への対策を図るため、腸管および腎臓におけるリン(再)吸収抑制因子の検索を行ない、腎近位尿細管におけるリン再吸収を抑制する新規の因子Stanniocalcin-2(STC2)を同定した。そこで、本研究では組換えSTC2を作製しその機能解析を行った。まずGSTをタグとして有するベクターにSTC2 908bpを組み込み、大腸菌に発現させた。GST-STC2融合タンパク質を発現させた大腸菌の抽出液を、セファロース樹脂と混合しグルタチオンを介して結合させた後、さらに過剰のグルタチオンを添加し、競合反応させて融合タンパク質を溶出させた。さらにPreScission Proteaseを用いてGSTとSTC2を切断し、SDS-PAGEを行い33.6kDaのSTC2タンパク質を得た。 この精製STC2をフクロネズミ由來腎近位尿細管細胞株(OK細胞)に添加し、リン輸送活性を測定した。その結果Na依存性リン輸送活性は変化せず、ヒトII型リン輸送担体遺伝子5'転写調節領域を用いたプロモーター活性にも影響を与えなかった。最近STC2が細胞外に分泌される際にCasein KinaseIIによってリン酸化される蛋白質であることが報告され、Mammalian細胞発現系による修飾が必要であることが推定された。そこで次に各種細胞株を用いてSTC2の分泌機序について検討したところ、STC2はCHO-K1細胞では発現量に応じ、糖付加修飾を受けた糖蛋白質として構成的分泌が行われ、一方OK細胞では、細胞内にSTC2蛋白質が存在しているにもかかわらず細胞外への分泌は確認されなかった。現在、STC2の分泌調節機構について検討するとともにSTC2トランスジェニックマウスを用いた機能解析を進めている。
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Research Products
(1 results)