2000 Fiscal Year Annual Research Report
虚血腸管のviability判定システムの開発に関する研究
Project/Area Number |
12770683
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
安村 幹央 岐阜大学, 医学部・附属病院, 助手 (90313882)
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Keywords | CCD生体顕微鏡 / 虚血腸管 / 微小循環 |
Research Abstract |
消化器外科領域において腸間膜動脈閉塞症,絞扼性イレウス,ヘルニアの嵌頓等の虚血腸管のviabilityの判定は,術式の選択あるいは切除範囲の決定する上で重要なポイントとなる。しかしながら臨床における腸管のviabilityの判断は,術者の経験に委ねられているのが現状であり,迅速かつ正確な客観的な指標の確立が望まれている。そこで本研究ではCCD生体顕微鏡を用いて虚血腸管の微小循環を観察することでその病態を検討し,また得られる画像情報に対し一定の指標を設定し,これらをあわせて虚血腸管のviabilityを判定するシステムを確立することを目的とする。 今年度の研究の結果,我々はラット正常腸管における微小循環をCCDデジタルマイクロスコープ(キーエンス・VH-6200)を用いて観察し,直動静脈,細動静脈径および細動静脈の血流速度の測定を可能とした。つづいてラット絞扼性イレウスモデルを作製し,正常腸管と同様の方法にて虚血腸管における微小循環の観察を行った。絞扼前と絞扼解除30分後の毛細血管レベルの血流速度の最速値(Vmax),および絞扼前総血管床面積に対する絞扼解除30分後の血流再開血管床面積の比(S)をそれぞれ絞扼部位,非絞扼部位において測定した。絞扼部位におけるVmax,Sの非絞扼部位のそれに対する比をそれぞれ%Vmax,%Sとし,腸管虚血を施行したラットの生存日数との関係を検討した結果,%Vmax0.76および%S0.61以上であったものは1週間以内の死亡例を認めなかったのに対し,%Vmax0.54および%S0.51以下のラットでは1週間以上の生存例を認めなかった。 以上よりCCD生体顕微鏡を用いて測定,算出された%Vmax,%Sが絞扼性イレウスラットモデルの生存日数を予測する指標となることが確認された。 来年度はさらに%Vmax,%Sと虚血腸管の組織学的所見や,cell reversibilityを表すTTCassayなどとの対応を検討していくものである。
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