2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12770970
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
木村 宣彦 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (70243681)
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Keywords | 遺伝性難聴 / コネキシン26 / 遺伝子診断 / 難聴遺伝子 / 診断技術 / 直接塩基配列決定法 / 一塩基欠失 / 一塩基置換 |
Research Abstract |
コネキシン26は言語習得期前難聴の最も頻度の高い原因と考えられており、一般人口中における頻度は約2%、先天性高度難聴の約30%をしめると考えられている。特に、この遺伝子変異にはすでに特定の変化が多数確認されることが報告されている。例えば地中海を中心とした欧米では35delGが広く報告されていることに対して、日本の難聴者を対象に行った報告では、233番目から235番目まで3つつながったCのうち、一つが欠失する235delCの頻度が変異全体の70%と圧倒的に高いことが報告されている。こうした頻度の高い一塩基欠失の報告がある一方で非常に多くの種類の一塩基置換の報告も知られている。こうした遺伝子異常解析の臨床的応用のためには比較的簡単な手技で迅速に行うことができる検査法を開発する必要がある。我々は直接塩基配列決定法と同等の精度と敏感度を持ちながら、より迅速、簡易、経済的な遺伝子診断法についての研究を行った。遺伝子解析についてのインフォームドコンセントの得られた、先天性高度難聴患者52人を対象にした。迅速診断の対象としたのは、235delC、30delG、Y136X、R143W、G45Eの5個所のGJB2遺伝子異常だった。ブラシで頬粘膜を擦過後、抽出用のバッファーの中で洗浄し、その洗浄液からDNAを抽出した。最初に、第一のPCRとして、GJB2のエクソン2全域を含む772bpの領域をPCR反応で増幅した。さらにそのPCR産物のうち35delGと235delCの領域を含む241bpの領域を増幅するために、蛍光標識したブライマーを用いてPCR反応を行った。GJB2遺伝子異常のうち、一塩基置換である、Y136X、R143W、G45Eを検出するために、一塩基プライマー伸長反応を行った。遺伝子迅速診断の結果を直接塩基配列決定法を用いて確認した。 235delCのhomozygote4症例、heterozygote10症例が検出され、heterozygoteの内、2症例ではR143W、1症例ではY136X、1症例ではY136X+G45Eと、片方のアレルに頻度の高い一塩基置換を持つことが検出された。以上の結果は直接塩基配列決定にても正しいことが確認された。今回の迅速診断に要した時間と費用は直接塩基配列決定の約3分の1であった。
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