2000 Fiscal Year Annual Research Report
外科的矯正治療前後における咀嚼筋エネルギー代謝の変化について
Project/Area Number |
12771296
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 和朗 岩手医科大学, 歯学部, 助手 (60295996)
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Keywords | 咬筋 / エネルギー代謝 / 核磁気共鳴分光法 / ^1Hスペクトル |
Research Abstract |
【対象および方法】 1)本年度の対象者は,岩手医科大学歯学部附属病院矯正歯科を受診し,外科的矯正治療の適用と判断された患者のうち,本研究の目的を説明した上で協力の同意が得られた20代の女性患者2名(A,B)とした。 2)この2名に,通常行われている下顎運動の測定,咀嚼筋筋電図の採得,体重心動揺の測定の顎機能検査を行った。 3)咀嚼筋エネルギー代謝の測定は両側咬筋とし,1.5T臨床用MRI装置(GE社製SIGNA)で,TMJ撮影用コイル(φ3-inch dual surface coil)を用いて,咬筋中央部の^1Hスペクトルを測定した。測定は対象者に下顎安静の状態を指示した上で,single voxel STEAM法により,繰り返し時間TR/エコー時間TE/加算回数NEX=1500/270/128の条件下で行った。得られたスペクトルからcreatine(Cr)とcholine(Cho)の化合物のピークの面積を計算した。 【結 果】 1)対象者A,Bはそれぞれ骨格型交叉咬合,骨格型反対咬合と診断され,手術前の顎機能検査では垂直的最大開口量はA:38.9mm,B:25.5mmで,後方移動量はA:26.5mm,B:17.5mmであった。咬筋の筋電図では最大噛みしめ時の平均活動電位は左右側でそれぞれA:左62.4μV,右97.0μV,B:左56.5μV,右65.9μVであり,ともに右側咬筋の活動量が優位であった。体重心動揺に関しては両者ともに特記事項は認めなかった。 2)Creatineとcholineの化合物のピークの面積比(Cr/Cho)は左右側で,A:左1.04,右1.16,B:左0.96,右0.95であった。 対象者Aで顎骨に左右非対称を認めたが,その影響がCr/Cho比の左右差に現れている可能性が考えらた。今後対象者を増やし,更に検討する予定である。
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