2000 Fiscal Year Annual Research Report
新規不斉ホスファイト配位子の設計・合成を基盤とする不斉触媒反応の開発
Project/Area Number |
12771344
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
北垣 伸治 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (20281818)
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Keywords | ホスファイト配位子 / スピロ型配位子 / 不斉アリル化反応 / 不斉ヒドロホルミル化反応 |
Research Abstract |
ホスファイト化合物が不斉配位子として利用されている例は対応するホスフィンに比べて極めて少ない.しかし,ホスファイトは調製,取り扱いが容易であると同時にホスフィンとは電子的,立体的に異なる特徴を持つことからホスフィンでは実現できない全く新しい反応の開発が期待できる.そこで我々は,スピロビインダン骨格をもつC_2対称不斉ビスジフェニルホスファイト配位子を設計・合成した.この配位子の構築する不斉空間の有効性を見極めるべく,本年度は以下の研究を行った. 1.合成したホスファイト配位子をπ-アリルパラジウムを経る不斉アリル化反応に適用した.その結果,酢酸1,3-ジフェニル-2-プロぺニルとマロン酸ジメチルの反応にBINOL等の代表的な光学活性ジオールより導いたジホスファイト配位子を用いると低いレベルのエナンチオ選択性を示すのに対し,本配位子を用いると99%の不斉収率が得られることがわかった.本反応系で構築されている不斉空間を解析すべく配位子とπ-アリルパラジウム錯体のX線結晶構造解析を行った結果,配位子とパラジウムは1:1で錯体を形成し,リン原子上のフェノキシ基が効果的に反応部位に張り出していることが明らかとなった.また,形成されるπ-アリル中間体は^<31>PNMRにより単一であることを確認した. 2.ヒドロホルミル化反応における金属触媒の配位子は反応活性,位置選択性の点でホスフィンよりもホスファイトが優れていることが知られている.既に最近,リン原子上に嵩高い置換基を持つ不斉ホスファイト配位子を用いたエナンチオ選択的反応が報告されている.我々も上記配位子を不斉ヒドロホルミル化反応に適用した結果,最高56%の不斉収率が得られた.今後,嵩高い置換基を導入し本配位子の有効性を見極める予定である.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 北垣伸治: "Enantioselective Intermolecular 1,3-Dipolar Cycloaddition via Ester-derived Carbonyl Ylide Formation Catalyzed by Chiral Dirhodium (II) Carboxylates"Tetrahedron Letters. 41. 5931-5935 (2000)
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[Publications] 北垣伸治: "Enantioselective Si-H Insertion of Methyl Phenyldiazoacetate Catalyzed by Dirhodium (II) Carboxylates Incorporating N-Phthaloyl-(S)-arnino Acids as Chiral Bridging Ligands"Tetrahedron : Asymmetry. 11. 3855-3859 (2000)
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[Publications] 北垣伸治: "Enantiocontrol in Tandern Allylic Sulfonium Ylide Generation and [2,3] Sigmatropic Rearrangement Catalyzed by Chiral Dirhodium (II) Complexes"Heterocycles. 54(in press). (2001)