2000 Fiscal Year Annual Research Report
慢性疾患患者の自己管理姿勢を規定する要因の構造化-看護婦の臨床判断に焦点を当てて
Project/Area Number |
12771520
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Research Institution | Osaka Prefectual College of Nursing |
Principal Investigator |
山本 裕子 大阪府立看護大学, 看護学部, 講師 (40263272)
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Keywords | 慢性疾患 / 自己管理姿勢 / 患者教育 / 看護学生 |
Research Abstract |
臨地実習において患者教育が必要な慢性疾患患者(糖尿病3名、ネフローゼ症候群2名)を受け持った看護学生5名を対象に、看護学生が患者の自己管理姿勢をどのように判断し、その判断が実習期間を通してどのように変化するのかを分析した。その結果、実習の最初の段階では、1.学生は、患者の自己管理上できていない点のみを取り上げて問題視し、それを正す方向に指導をしようとしていた。2.患者の自己管理が「できない」あるいは「できる」という表面的な発言を鵜呑みにし、指導の必要性の有無を判断していた。これらのことから、学生は患者の発言の背景にある心情を汲み取ったり、自己管理に影響する複雑な要因を患者の全体像を捉えた上で判断して、患者の課題に応じた患者教育のアプローチ方法を考えることが難しいことがわかった。このように自己管理の取り組み姿勢を判断することが難しい上に、それらを表現する言葉を学生は持ち合わせておらず、問題状況の表現には常に困難を感じており自信のなさがみられた。 次に、臨地実習中に慢性疾患患者に対して行った患者教育について学生74名にアンケート調査を行ったところ、学生は患者教育の意義や意味については理解できているが、実際に行った患者教育は、患者との信頼関係の吟味、教育の計画性、教育後の評価などが十分とは言えず、「頭ではわかっているが実施は困難」な状況が明らかになった。これは新卒看護婦の患者教育実施上の問題へと発展していく可能性が示唆された。 以上の結果より、看護学生にとって慢性疾患患者の理解は容易ではなく、患者教育の実施も困難であるといえる。従って、自己管理姿勢を判断する手がかりを整理・分析し、モデルとして示すことが、看護学生の慢性疾患患者理解を促し、効果的な患者教育方法を学習する一助になると考えられた。
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