2000 Fiscal Year Annual Research Report
児童の体温と肥満,食生態,身体活動量,およびβ3-AR変異の関連について
Project/Area Number |
12780005
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石井 好二郎 北海道大学, 大学院・教育学研究科, 講師 (30243520)
|
Keywords | 小児 / 体温 / 肥満 / 食生態 / 生活習慣 |
Research Abstract |
近年,小児の体温が低下傾向にあることが学校現場などで指摘されている。その主な原因としては生活リズムの夜型化や朝食の欠食,運動不足などがあげられている。しかしながら,小児の低体温傾向は単なる測定ミスであるとの指摘や,測定時刻・測定条件が均一でないなどの問題もあり,実際に小児の体温が低下傾向にあるのかは明らかでない。そこで本研究は水銀体温計を用いて口腔内舌下での体温の測定を行い,より正確な小児の体温を調査するとともに,肥満度,食生態,生活習慣等との関連性を検討した。また,本研究では熱産生量や脂質代謝に影響を及ぼすとされるβ3アドレナリン受容体(β3-AR)の変異の有無により,体温および肥満度に差があるか否かについても検討を加えた。 体温の実態については,小学校高学年男子1090名より有効な回答が得られた。測定は休日を除いた5日間行ない,その平均値を測定データとした。また,測定前の行動や測定時刻の差を最小限とするため,起床直後に測定を行なった。その結果,体温の平均値は36.4℃(SD:0.3℃)であり,先行研究で低体温傾向であると指摘されている36℃未満の小児は13.0%認められた。しかしながら,低体温傾向の有無と肥満度,食生態,生活習慣については有意な関連は認められなかった。また,β3-AR変異の有無による体温や肥満度についても有意差は認められなかった。 口腔内舌下での測定は5分で体温が定常状態になることが報告されており,また,水銀体温計の使用は温度センサー部の小さい電子体温計より精度が高いことが報告されている。本研究に比べると先行研究は体温測定法に問題が多く,体温測定値の正確性が問われる。さらに低体温傾向と生活習慣等との関連を論じた先行研究は,対象数が少ないものや推察の域を出ないものがある。本研究結果の結論としては,小児の低体温傾向を論じた先行研究の再検討を提言したい。
|