Research Abstract |
製品・サービスの高品質化をめざす品質管理の推進には,一般に,推進事務局の設置,従業員の教育等の労力,費用がかかる.一方,高品質化による売上向上,標準化による手直し工数の削減等が期待できる.経営を行う立場からは,これらの労力,費用等を,売上向上,工数削減等の効果と対比し,品質管理活動の経済的側面を検討する必要がある.本研究では,品質管理活動の中核が品質保証であることから,近年盛んに論じられている品質保証の国際規格ISO9000をとりあげ,その認証取得活動の経済的な効果について,次のアプローチにより検討を行った. (1)質問紙調査の実施:ISO9000の認証取得活動の推進形態などに関連する質問紙を設計し,製造業である計100社(本社,対象事業部は全て日本)に送付した.この回答からISO9000の認証取得の費用を推定し,例えば,人件費までを含めるとISO9000認証取得活動の費用は売上高に対して約2%程度であること等を示した. (2)損益計算書データの解析:損益計算書などで公開されている経営指標データを,グラフィカルモデリング,共分散構造分析等の多変量解析法で解析し,ISO9000認証取得がもたらす利益についてその上限を導いた.製造業の場合には,利益の上限は売上高に対して高々3%程度である. 平成12年度は日本の製造業を対象にISO9000について研究を行ったのに対し,平成13年度では製造業だけでなく他の業種にも(1),(2)のアプローチを適用し,より一般的な結論を導くべく検討を行う.またIS09000のみならず,近年米国を中心に注目を集めているシックスシグマ活動についても(1),(2)のアプローチを適用し,その経済的効果を推定する.なお,その前段階として,シックスシグマ活動の基本的考え方などの検討は,平成12年度中にすでに開始している.
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