2001 Fiscal Year Annual Research Report
成型体状の廃棄物焼却灰溶融スラグおよび二次製品に対する溶出試験法の開発
Project/Area Number |
12780421
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
水谷 聡 京都大学, 環境保全センター, 助手 (80283654)
|
Keywords | 溶融スラグ / 溶出試験 / 成型体 / 二次製品 / 試料粒径 / 土木資材 / 都市ごみ消却残渣 / 重金属 |
Research Abstract |
わが国で年間600万トン以上発生している都市ごみ焼却灰(飛灰および焼却残渣)の適正処理と有効利用を促進するために,セメント固化および溶融処理に着目し,飛灰のセメント固化物,溶融スラグ,溶融スラグを用いた二次製品の溶出挙動を調査した。まず都市ごみ焼却飛灰にPbとCrを添加して濃度を高めた模擬飛灰を作成し,養生期間の異なるセメント固化物を作成した。そこからの溶出挙動を把握するために,環告13号法とタンクリーチング試験を行った。セメント固化物を養生することにより、Pbの溶出性は低下したが,Crや可溶性塩類では低下しなかった。また振とう試験だけでは、成型体からの拡散支配の溶出を正しく評価できず、静置試験を組み入れた溶出試験体系が求められた。 つづいて溶融処理方式の異なる都市ごみ焼却灰の溶融スラグ28種,そのスラグを用いて作成した二次製品(コンクリートブロック,煉瓦製品など)14種,市販されている土木資材(鉄鋼スラグ,アスファルト,など)を11種類用意し,溶出試験を行った。溶出試験は,環告46号法,飽和炭酸水やpH4の硝酸を用いた密閉試験・二酸化炭素を溶媒中に吹き込む炭酸抽出試験,最大溶出可能量を調べるためのアベイラビリティ試験を行い,重金属類と可溶性塩類の溶出挙動を調べた。 溶融スラグからの重金属の溶出量は処理前と比べて2〜3オーダー低下した。また,試料の粒径を<0.5右mm,10-20mm,未粉砕の3段階に調整して,試料粒径と溶出挙動について検討した。小粒径の試料から高濃度に溶出する元素が多かったが,Pbは試料粒径の大きい試料から高濃度の溶出が見られる例があった。これは,試料を細かく粉砕するほど,アルカリ成分が多く溶出し,pHが高くなった結果であると思われた。このことから,バッチ式溶出試験では実環境を想定した粒径で実験をするべきであると思われた。
|
-
[Publications] 水谷聡, 幸正仁昭, 酒井伸一, 高月紘: "粒子状廃棄物の酸中和容量と金属類の溶出挙動に関する研究"第11回廃棄物学会研究発表会講演論文集II. 1271-1273 (2000)
-
[Publications] 水谷聡, 酒井伸一, 高月紘, 幸正仁昭: "粒子状廃棄物の酸中和容量を考慮した2段階バッチ試験の試み"第11回廃棄物学会研究発表会講演論文集II. 1274-1276 (2000)
-
[Publications] Satoshi Mizutani, Shin-ichi Sakai, Hiroshi Takatsuki: "Acid neutralizing capacity (ANG) and leaching test scheme for short and long term behaviour of granular waste"Proceedings of the 1st International Landfill Research Symposium. 21-21 (2000)
-
[Publications] 水谷聡, 幸正仁昭, 高月紘, 酒井伸一: "pHおよび酸中和容量から見た都市ごみ焼却飛灰の類型化"環境衛生工学研究. 15巻・3号. 24-27 (2001)
-
[Publications] 水谷聡, 竹内和樹, 高月紘, 酒井伸一: "都市ごみ焼却飛灰の金属類の粒径分布と溶出試験の試料粒径について"第12回廃棄物学会研究発表会講演論文集II. 1136-1138 (2001)
-
[Publications] 水谷聡, 竹内和樹, 高月紘, 二松雅之, 酒井伸一: "都市ごみ焼却模擬飛灰のセメント固化物からの金属類の溶出挙動"第12回廃棄物学会研究発表会講演論文集. 866-868 (2001)