2001 Fiscal Year Annual Research Report
金属イオン錯体を用いたリン酸基転移酵素モデルの構築
Project/Area Number |
12780435
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
近藤 慎一 群馬大学, 工学部, 助手 (20281503)
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Keywords | リン酸ジエステル / 酵素モデル / 加水分解 / 水素結合 / 金属イオン / 疎水相互作用 / リン酸基転移反応 |
Research Abstract |
リン酸化反応は生体反応として極めて重要であり、リン酸基転位酵素の多くは補欠因子として金属イオンを必要とする。基質認識部位と金属イオン配位部位を有する配位子を合成し、水酸基を有する基質との親和力を利用して、温和な条件下で分子認識により捕捉された基質へのリン酸基転位反応について検討することが可能であると考えた。ここで重要なことは如何なる相互作用を基質認識部位に用いるかである。本研究においては水素結合と疎水相互作用を基質認識に用いた。m-キシレンをスペーサーとしたビスメラミン誘導体は6点の水素結合でバルビツール酸誘導体を捕捉する。そこで、2,2'・ビピリジル基を有するビスメラミン誘導体と水酸基を有するバルビツール酸を用い、活性化されたリン酸ジエステルをリン酸ドナーとして用いリン酸基転移反応を試みた。意外なことにバルビツール酸誘導体非存在下においてもビスメラミン誘導体はリン酸ジエステルの加水分解を加速することを見出した。速度論的解析などから、リン酸ジエステルの加水分解においてメラミンのNHが水素結合ドナーとして働き遷移状態を安定化しているためであると結論付けた。水素結合と金属イオンの二つの要素を用いたリン酸エステルの加水分解については殆ど報告が無く、酵素の活性中心における機構を知る上で重要な知見であると考えられる。また、β-シクロデキストリン(β-CD)と基質の疎水相互作用を基質認識部位として用いた系についても検討を行った。すなわち、2,2'・ビピリジル基を有するβ-CDを合成し、基質として水酸基を有する芳香族化合物を基質として用いた。その結果β-CD誘導体 : Zn(II) : 基質=1 : 1 : 1の三元錯体をスペクトル的に同定した。現在、リン酸基の転移反応について検討を行っている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 近藤 慎一, 作野 雄一, 横山 隆志, 矢野 由美彦: "Cooperative effect of a metal ion and hydrogen bonds on phosphodiester cleavage in acetonitrile"Chemistry Letters. 8. 830-831 (2001)
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[Publications] 大城 英明, 三井 啓太, 安藤 伸行, 大沢 陽一, 鯉沼 渉, 高橋 宏文, 近藤 慎一, 鍋島 達也, 矢野 由美彦: "Oxidation-active flavin models : Oxidation of α-hydroxy acids by benzo-dipteridine bearing metal-binding site in the presence of divalent metal ion and base in organic solvents"Journal of the American Chemical Society. 123(11). 2478-2486 (2001)
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[Publications] 近藤 慎一, 真保 孝一, 山口 達也, 吉田 喜太郎, 矢野 由美彦: "Cooperativity of binuclear Zn(II) complexes of imidazolyl ligands in the hydrolysis of bis(2,4-dinitrophenyl) phosphate in aqueous solution"Journal of the Chemical Society, Perkin Transaction 2. 1. 128-131 (2001)