2000 Fiscal Year Annual Research Report
スフィンゴミエリナーゼ阻害剤をバイオプローブとした細胞機能の解析
Project/Area Number |
12780444
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Research Institution | Kitasato Institute |
Principal Investigator |
荒井 雅吉 (社団法人)北里研究所, 生物機能研究所, 研究員 (80311231)
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Keywords | スフィゴミエリナーゼ / 阻害剤 / バイオプローブ |
Research Abstract |
平成12年度は、酵素アッセイによる中性および酸性スフィンゴミエリナーゼ(SM)阻害剤の探索を実施すること。細胞を利用したSM阻害剤の評価系を構築することを目的に研究を実施した。 土壌、海水などから分離した放線菌、糸状菌およびバクテリアの培養液を対象に約3,000サンプルについてスクリーニングを行った。その結果、糸状菌FO-7022およびFOM-8092株、放線菌WK-6130株の培養液に中性酵素に対する阻害活性が見い出された。しかしながら、今回のスクリーニングでは酸性酵素に対する阻害剤は見い出されなかった。次に、中性酵素に阻害活性を示した3株について大量培養を行い、活性物質の単離を行った。NMR等の器機分析の結果、糸状菌FO-7022株からはコラゲナーゼ阻害活性が報告されているfunalenoneが、FOM-8092株からはエンドセリン受容体アンタゴニスト RES-1149-1 および殺線虫活性が報告されているophiobolin Kを同定した。一方、放線菌WK-6130株からは、血小板凝集抑制作用を有するPI6621を同定した。またこれら化合物の中性SM阻害活性はそれぞれIC50で14、1.8、8.2および7.2μMと算定されたが、いずれの化合物も酸性酵素に対しては260μMまで阻害活性は見られなかった。 一方細胞を用いた評価系の構築につては、ヒトTリンパ球系ガン細胞であるJurkat細胞を放射性塩化コリンで標識し、TNF-alpha刺激による放射性スフィンゴミエリンの減少量を測定することを試みた。その結果、放射性スフィンゴミエリン量は、TNF-alpha刺激から30分まで経時的に減少し、90分までに定常状態に戻ることが確認できた。今後、阻害剤の評価に応用すると共に、SMが関与するシグナル伝達経路の解明へと展開する予定である。
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