2000 Fiscal Year Annual Research Report
乳幼児の発達過程における光トポグラフィーを用いた前頭連合野機能の測定
Project/Area Number |
12780494
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
喜多村 祐里 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90294074)
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Keywords | 乳幼児 / 発達過程 / 光トポグラフィー / 前頭連合野 |
Research Abstract |
光トポグラフィーとは,近赤外光(780,830nm)を用いて非侵襲的に皮質局所における脳活動にともなう血液動態の変化を,サブ秒の時間分解能で測定し,2次元分布図として記録,表現する脳機能イメージング法である。これは,近年わが国で開発され,脳機能研究分野では従来のfMRIやEEG,MEGおよびPETなどの機能画像とはある意味,一線を画しており,空間分解能の追求から離れ,非拘束性や簡便さを重視した実践向け脳機能表現法といえる。 乳幼児の脳機能測定において,最大の問題点は拘束性にある。大がかりな装置の中で動きを制して測定を行うためには睡眠剤の使用が不可欠であり,覚醒状態での測定は非現実的とされてきた。ところが,光トポグラフィーの出現により,必ずしも睡眠剤の使用の必要がなくなり,しかもさまざまな姿勢をとりながら,覚醒状態での課題の遂行中において脳機能測定の可能性が見え始めたといえる。 本研究では,乳幼児期から思春期にかけてヒトで最も顕著な前頭前野における機能発達と実際の脳活動変化の対応から,可塑性の神経基盤にもとづいた意義付けを行うことを目的としている。 初年度における具体的な成果としては,1)生理的要因による脳血液動態の変化と脳活動によるものとの明確な違いを見いだすための基礎的データの収集,2)成人による前頭連合野機能の光トポグラフィーを用いた研究実績,3)また2)の従来法との比較検討,そして,4)乳幼児での計測のための装置の調整および基礎的データの収集をあげることができる。1)は健常人および脳死患者による賦活検査から現在,学会発表の準備段階であり,2)はヒト脳機能マッピング学会(国内),およびHuman Brain Mapping(英国)国際学会にて成果発表の予定であり,本研究は現在,申請者の研究計画に概ね沿って進行中である。 残す13年度においては,検討中の時系列統計解析法の確立によってS/N比の向上をはかり,実際の脳機能発達過程のイメージングを実現させる予定である。
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