2000 Fiscal Year Annual Research Report
線虫C.elegansをモデル動物としたP38MAPKカスケードの解析
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12780508
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
久本 直毅 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80283456)
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Keywords | MAPキナーゼ / C.elegans / P38 |
Research Abstract |
神経細胞の機能の制御には、さまざまな細胞内シグナル伝達因子が関与することが知られている。本研究では線虫C.elegansをモデル動物として、p38MAPキナーゼを活性化するMAPKKであるsek-1の機能を解明することにより、p38MAPキナーゼカスケードの神経機能の制御における役割を個体レベルで明らかにすることを目的としている。今回の研究では、sek-1は産卵や交尾行動だけでなく、感覚神経AWCでの左右非対称性の制御にも関わることが新たに明らかになった。更に、sek-1の上流で働くMAPKKKとして、哺乳動物ASK1の線虫ホモログNSY-1遺伝子およびその変異株を新たに単離・同定した。NSY-1は線虫においてカルシウムチャネルUNC-36や、カルシウムーカルモジュリン依存性キナーゼであるUNC-43の下流に位置しており、しかも細胞自律的に機能していることを遺伝学的手法により明らかにした。また、線虫内でのSEK-1のキナーゼ活性を測定する系を確立し、それを用いて野生株や各変異株での活性を生化学的に測定したところ、unc-43およびnsy-1変異株内ではその活性が著しく低下していたことから、UNC-43やNSY-1がSEK-1の上流でその活性化因子として働いていることが生化学的にも明らかになった。以上の結果から、線虫の感覚神経AWCにおいて、カルシウムシグナルがUNC-43をを介してNSY-1-SEK-1MAPキナーゼカスケードを活性化することにより、その左右非対称性を制御していることが示唆された。
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Research Products
(1 results)