2000 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエ勾い長期記憶に関与するgol遺伝子のシナプス機能の解明
Project/Area Number |
12780613
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
齊藤 実 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 主任研究員 (50261839)
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Keywords | ショウジョウバエ / シナプス / 受容体集積 / 変異体 / golovan / 自発融合 / シナプス小胞 |
Research Abstract |
ショウジョウバエ神経筋シナプスは電気生理のみならず、形態学的解析や薬理学的手法の適用も可能なことから、これを中枢シナプスのモデルとしてシナプス伝達、シナプスの形成過程やシナプス可塑性の発現メカニズムを各種変異体で調べてきた。golvan(gol)は長期記憶形成過程が特異的に阻害された変異体であるがそのシナプス機能はまだ明らかとなっていない。完全欠失体では胚致死となることからシナプスの形成過程に関与していることが伺えた。そこで発生胚神経筋シナプスで機能形成の重要な過程であるシナプス部位への受容体集積にgol遺伝子が関わっているか調べたところgol変異体では正常な受容体集積が見られた。また,胚の自発運動も見られ、シナプス伝達も正常であった。そこで今後golがシナプス活動に応じたシナプス部位の増加といった長期可塑性の発現に何らかの形で関与しているかどうかを明らかにする。一方、受容体集積過程のメカニズムをgol以外の各種変異体を用いて調べたところ、シナプス形成時の受容体集積には微小終板電流を引き起こすシナプス小胞の自発融合が関与していることが明らかとなった。即ち自発融合が起きない変異体では受容体の集積が見られないのに対し、神経活動に応じたシナプス伝達は起きないものの自発融合は起こる変異体では正常な受容体集積が起こった。また、受容体のブロッカーを導入した発生胚でも受容体集積は正常に起こることから伝達物質の放出による受容体の活性化では無く、何らかの集積因子の自発融合による放出が集積の不可欠な要素であることが分かった。
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Research Products
(1 results)