2002 Fiscal Year Annual Research Report
実験的脊髄損傷モデルにおける脊髄および交感神経活動電位の電気生理学的研究
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12832042
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
荒巻 駿三 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (10151169)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小倉 卓 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (20254336)
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Keywords | Microneurogram / muscle sympathetic nerve activity / skin sympathetic nerve activity / rostral ventrolateral medulla oblongata |
Research Abstract |
脊髄圧迫障害で出現する脊髄症状は、圧迫による脊髄伝導路の機能障害によって生じると考えられている。しかし、交感神経機能異常が関与する四肢のしびれ感や発汗異常は未だ解明されていない。14年度の研究目的は、脊髄圧迫モデルを作製し、脊髄圧迫障害が末梢部および中枢部の交感神経活動に与える影響を電気生理学的に明らかにすることである。 実験動物として、Wistar系ラット(体重300g)20匹を用いた。T9高位の脊髄を重錘(5g〜50g)で圧迫し、脊髄圧迫モデルを作製した。左坐骨神経に微小電極を設置し、0.5〜5kHzの増幅器を用い末梢交感神経活動を導出した。また、中枢部の交感神経活動としてRVLM (吻側延髄腹外側野)領域内に10極の微小電極を刺入し、TC=0.3,high cut 3kHzの増幅器を用い導出した。各活動電位は、電位の積分値およびFFT解析,Wavelet解析を用い比較検討した。 RVLM (rostral ventrolateral medulla oblongata)領域から得た各々の活動電位および末梢交感神経活動との相互相関に差異を認めた。この事は、RVLM内の個々の細胞は、NTS(孤束核)、CVLM (caudal尾側)、KF核、PAG(中脳水道周囲灰白質)、視床下部に当たるPVN(視床下部PVN),LHAの上位中枢から支配を受けている。支配の分布差異により、活動様式が異なり、RVLM領域内細胞、個々に機能的分散存在すると考えた。また、RVLM領域細胞の交感神経活動電位の平均周波数帯域は3.4Hz〜3.7Hzであったが、脊髄圧迫により平均周波数帯域が約5.4Hz〜56Hzに推移した。この事は、脊髄圧迫障害により圧迫部位から脊髄求心性線維を伝搬した電位により、RVLM細胞が賦活され活動性が増すと考えた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 吉良保彦, 荒巻駿三, 中西文彦, 李国浩, 小倉卓, 久保俊一, 平澤泰介: "脊髄損傷モデルにおける末梢交感神経活動電位に関する実験的研究"脊髄電気診断学. 23(1). 23-31 (2002)
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[Publications] 中西文彦, 小倉卓, 吉良保彦, 荒巻駿三, 李国浩, 久保俊一, 平澤泰介: "治療的電気刺激を用いた下肢末梢交感神経活動電位に関する実験的研究"脊髄電気診断学. 23(1). 32-37 (2002)
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[Publications] Ogura, T., Kira, Y., Aramaki, S., Kubo, T., Okuda, Y., Lee, K.: "Power Spectrum Analysis of Compound Muscle Action Potential in Carpal Tunnel Syndrome Patients"Journal of Orthopaedic Surgery. 10(1). 67-71 (2002)
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[Publications] 荒巻駿三: "臨床医に必要な福祉機器の知識"医学のあゆみ. 203(9). 688-692 (2002)
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[Publications] 藤原誠, 平澤泰介, 鳥田恭光, 荒巻駿三, 南川義隆 他: "リハビリテーションスペシャリストハンドブック(第2判)"南江堂、東京. 677 (2002)
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[Publications] 米本恭三, 石神重信, 石田輝, 越智文雄, 荒巻駿三, 他: "最新リハビリテーション医学"医歯薬出版、東京. 428 (2002)