2000 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属ジエン錯体のアニオン生成法の検討とそれを用いる新規有機合成反応の開発
Project/Area Number |
12875178
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
南 享 九州工業大学, 工学部, 教授 (10029134)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡内 辰夫 九州工業大学, 工学部, 講師 (60274552)
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Keywords | 鉄-ジエン錯体 / アニオン / 位置選択性 / ビニルホスホナート / α-ケトビニルホスホナート / 転位反応 / ジエノールホスホナート |
Research Abstract |
本年度は遷移金属-ジエン錯体として鉄-ジエン錯体を用い,これからのアニオンの生成と,それを利用したα-ケトビニルホスホナートの簡便合成法の確立を目指した。 六員環ジエノールホスホナートとFe(CO)_5から、六員環ジエノールホスホナート-鉄錯体の合成を行った。得られた鉄錯体にリチウムジイソプロピルアミド(LDA)を作用させたところ,ホスホノ基の転位反応が進行し,転位生成物が選択的に得られることを見い出した。また,本転位反応生成物から,鉄を除去することで,良好な収率で目的とするα-ケトビニルホスホナートを得ることができる。上述した転位反応が進行することは,ジエノールホスホナート-鉄錯体に塩基を作用させると,鉄ジエン錯体からカルボアニオンが生成することを意味する。この様な,鉄ジエン錯体からのアニオン生成は初めての報告例である。一方,鉄錯体化していない六員環ジエノールホスホナートを用い,同様な反応を行うと,位置選択性の異なる転位反応生成物が得られる。したがって,ジエンに対する鉄の配位により,ジエンからのアニオンの生成位置をコントロールできることを見いだした。 さらにこの転位反応をより汎用的なものとするため、鎖状ジエノールホスホナート-鉄錯体を用い同様の反応の検討を行った。その結果,環状化合物を用いた場合と同様に反応が進行し、目的とするα-ケトビニルホスホナートを得ることに成功した。 以上の結果より、鉄ジエン錯体を利用することによりビニルアニオン生成の位置選択性を制御し、α-ケトビニルホスホナートの合成を行うことに成功した。
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