2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12877274
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
中澤 満 弘前大学, 医学部, 教授 (80180272)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 幸彦 弘前大学, 医学部・附属病院, 助手 (40292148)
田村 正人 弘前大学, 医学部・附属病院, 助手 (60271821)
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Keywords | ミトコンドリアDNA / 加齢変化 / 網膜 / 視神経 / 遺伝子変異 |
Research Abstract |
ミトコンドリアは呼吸酵素や酸化的リン酸化に関与する酵素群を持ち酸素を消費にてエネルギーを産生している。これらの酵素群の一部はミトコンドリア遺伝子(ミトコンドリアDNA)によってコードされている。このミトコンドリアDNAはミトコンドリア内での呼吸の際に発生する活性酸素による攻撃を受けやすく、またエクソン領域が比較的多くをしめるなどの理由により、エクソン領域に変異を起こしやすい特徴がある。これらの変異は細胞の増殖が盛んな組織では淘汰されて次々に除去されてしまう。しかし非増殖組織では加齢とともに次第に蓄積してくる。 網膜、内耳、筋、神経組織ではすでに高度に分化を遂げた細胞により構成されているため、多くの細胞は終生細胞分裂することなく存在している。このような組織ではミトコンドリアDNAの変異も淘汰されることなく蓄積される。したがってこれらの組織ではミトコンドリアDNAの変異が加齢の指標として利用できる可能性がある。以上の考えにより、動物実験と臨床症例によりミトコンドリアDNA変異が実際に生体にて確認できるか否かおよび変異と加齢変化との関連性がみられるのか否かについて検索することを目的として研究を行った。 まず動物実験ではC57BL/6Jマウス36週令の個体の血液、脳、肝臓からゲノムDNAを精製しその中に含まれるミトコンドリアDNA4977 deletionの有無をPCR法にて検討した。その結果、予想に反してマウスではこの変異が検出できなかった。次に、実際に同意を得て採血したヒトのゲノムDNAからはミトコンドリアDNA4977 deletionが5例中1例に検出された。本変異をもつ症例は現在のところ眼に異常はないため、具体的な病的変化との関連は不明であるが、この結果を踏まえて、さらに多数例において本変異の存在を確認し変異と加齢変化ないし病的変化との関連性について検討したい。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Wada Y,Nakazawa M,Abe T,Tamai M.: "A new Leu253Arg mutation in the RP2 gene in a Japanese family with X-linked retinitis pigmentosa"Investigative Ophthalmology & Visual Science. 41(1). 290-293 (2000)
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[Publications] Fuse N,Suzuki T,Wada Y,Yoshida M,Abe T,Nakazawa M,Tamai M: "Molecular genetic analysis of ABCR gene in Japanese dry form age-related macular degeneration"Japanese Journal of Ophthalmology. 44(3). 245-249 (2000)
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[Publications] Suzuki Y,Sakuraba T,Mizutani H,Matsuhashi H,Nakazawa M: "Postoperative refractive error after simultaneous vitrectomy and cataract surgery"Ophthalmic Surgery & Lasers. 31(4). 271-275 (2000)
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[Publications] Sakuraba T,Suzuki Y,Mizutani H,Nakazawa M: "Visual improvement after removal of submacular exsudates in patients with diabetic maculopathy"Ophthalmic Surgery & Lasers. 31(4). 287-291 (2000)
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[Publications] Hara S,Sakuraba T,Nakazawa M: "Morphological changes of retinal pigment epithelial and glial cells at the site of experimental retinal holes"Graefe's Archive for Clinical and Experimental Ophthalmology. 238(8). 690-695 (2000)
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[Publications] Usui T,Ichibe M,Ueki S,Takagi M,Hasegawa S,Abe H,Sekiya K,Nakazawa M: "Mizuo phenomenon cbserved by scanning laser ophthalmoscopy in a patient with Oguchi disease"American Journal of Ophthalmology. 130(3). 359-360 (2000)
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[Publications] 中沢満: "新図説臨床眼科講座 第5巻 網膜硝子体疾患(田野保雄 編)・脳回転状脈絡網膜萎縮、白点状眼底、白点網膜症、網膜色素線状 の各分担"メジカルレビュー. 8 (2000)
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[Publications] 中沢満: "眼科診療Q&A(中島章 ら編)・Vogt-小柳・原田病(VKH)と脳脊髄液メラニン貧食細胞"六法出版. 2 (2000)