2001 Fiscal Year Annual Research Report
放射線で誘発されるマウス急性骨髄性白血病の発がん機構の解析
Project/Area Number |
12878092
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
新田 由美子 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助手 (60171964)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 和子 放射線医学総合研究所, 主任研究官 (40166939)
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Keywords | 急性骨髄性白血病 / マウス / 染色体欠失 / 放射線 / がん抑制遺伝子 / 発がん機構 / ミュータントマウス |
Research Abstract |
放射線誘発のマウス急性骨髄性白血病(AML)と、染色体2番中間部の欠失との関係を明らかにする目的で、以下の3つの実験を進展させた。 I.ミュータントマウスの染色体欠失マツピング D2Mit15部位がヘミ接合体のミュータントマウスは少なくとも3系統あることを、平成12年度に明らかにしていた。そこでこの3系統について個々の欠失領域を特定するため、D2Mit15(50.3cM)の隣接部位(44.0cM〜63.5cM)のマーカーを15種類選択し、欠失マッピングを行った。その結果、3系統マウスは、49.0cM〜51.4cMを共通に欠失していた。 II.ミュータントマウスの放射線感受性と自血病誘発試験 II-1.Del(2)Sey3HのオスをJF1,C3H/Heのメスと交配して得たハイブリッドマウスに、γ線(3.0Gy)を全身照射してAML発症を観察している。Del(2)Sey3H x C3H系の発がん状況は、ミュータントで6/40例、正常で7/45例。Del(2)Sey3H x JF1系の発がん状況は、ミュータントで4/13例、正常で4/47例。がんの種類は多彩で、AML、リンパ性自血病、胃腺癌、胃扁平上皮がん、十二指腸腺がん、空腸ポリープ、肝細胞がん、卵巣顆粒膜細胞がん、肺腺がんを得ている。 II-2.Del(2)Sey4HのオスをC3H/Heのメスと交配して得たハイブリッドマウスに、MNU(メチルニトロソウレア)(50mg/kg)を暴露して胸線リンパ腫発症を観察している。Del(2)Sey4H x C3H系の発がん状況は、ミュータントで3/24例、正常で7/40例で、胸線リンパ腫発症率が低かった。 III.がん抑制遺伝子クローニング 放射線医学総合研究所が保有するマウス白血病株(159株)を用いた、D2Mit15欠失のスクリーニングは昨年度終了し、92.4%の白血病株に欠失がある結果を得、この部位の重要性を独自に再確認した。D2Mit15に隣接するD2Mit185は、Wt1遺伝子と100%リンクする報告がある(1997)。マウス染色体2番の物理マップ、コンセンサスマップから、約100の遺伝子にターゲットを絞ることができた。マウス自血病株(159株)、新たに誘発したがんでの、100余のターゲット遺伝子について欠失、突然変異を検索しはじめた。
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