2012 Fiscal Year Annual Research Report
メタゲノム法を用いた生物活性物質、遺伝子、酵素の探索
Project/Area Number |
12F02032
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
阿部 郁朗 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
YANG Xiao-Long 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | メタゲノム / 海綿 / 難培養性微生物 / 共生細菌 / 生合成遺伝子 / 生合成酵素 / 単離構造決定 / 二次代謝産物 |
Research Abstract |
海洋生物に共生する微生物は様々な二次代謝産物を産生すると考えられているが、これらの多くは人工的に培養することが困難である。そこで、新たな物質探索の手段として、有用物質を生産している海綿など、難培養性の海洋生物共生微生物の遺伝子を直接的に抽出したメタゲノムライブラリーを構築し、これを大腸菌等をホストとして、二次代謝産物の生合成遺伝子を発現させ、様々な生理活性物質の生産を指標にしたスクリーニングで有望株を選別することで、有用物質生産につなげる研究を進めている。このメタゲノム法の最大のメリットは、「化合物と同時に、その生合成遺伝子、酵素、発現系、生産系の5つが一挙に取得できる」ことである。この生産系を利用して、培地に人工基質を添加してやれば Precursor-Directed Biosynthesisへの展開が可能であり、また、化合物の構造次第では、新規酵素の発見にも繋がり、遺伝子工学やタンパク工学、酵素工学へ展開が期待できる。今回我々は、カリクリンを生産する海綿Discodermacalyxのメタゲノムより調製したフォスミド・ライブラリーを用いて、これを大腸菌において異種発現させ、抗菌活性を指標としたスクリーニングで有望株の選抜を行い、複数のクローンの取得に成功した。選抜したクローンについて、大量培養により抗菌活性物質を精査した結果、新規ポルフィリン・インドール・ハイブリッド型化合物、新規糖脂質など、いくつかの新規抗菌活性物質の単離構造決定に成功した。現在、次世代シークエンサーを用いて、その生合成遺伝子配列の決定を急いでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
メタゲノムより調製したフォスミド・ライブラリーを用いて、これを大腸菌において異種発現させ、抗菌活性を指標としたスクリーニングで有望株の選抜を行い、複数のクローンの取得、及び、新規抗菌活性化合物の単離構造決定に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、遺伝子配列を決定により、新規化合物の生合成機構の解明が期待できる。また、この生産系を利用して、培地に人工基質を添加してやればPrecursor-Directed Biosynthesisへの展開が可能であり、さらに、新規酵素の発見、遺伝子工学やタンパク工学、酵素工学へ展開が期待できる。
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Research Products
(2 results)