2013 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内Caシグナルのスイッチとなる新発見のコネキシンの生理機能と発現制御機構
Project/Area Number |
12F02392
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中村 信大 東京工業大学, 大学院生命理工学研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SULTANA Naznin 東京工業大学, 大学院生命理工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | コネキシン / カルシウム / ゼブラフィッシュ / 心臓 |
Research Abstract |
ゼブラフィッシュの心臓形成のごく初期の段階に一過性に発現するコネキシン分子Cx36.7が正常な心臓形成に必要であり, カルシウムシグナリングの中継分子である可能性を見出していることから, コネキシンとカルシウムシグナリング系の連携という新しい情報伝達の概念が存在することを予想している。この情報伝達のしくみと意義を分子レベルで明らかにする為, 平成24年度ではゼブラフィッシュCx36.7遺伝子の発現調節機構について解析を行い心臓特異的な転写因子Gata4が重要であることを明らかにしている。さらに平成25年度では, Cx36.7の伝えるシグナル分子の特定とその作用機構について解析を行った。 まず, Cx36.7の機能不全により心臓形成に異常をきたす変異体ゼブラフィッシュftkを, さまざまな環境水中で飼育したところ, カルシウムイオンの存在下でftkの表現型が回復することを見出した。同様の回復は, Cx36.7をアンチセンス法で発現抑制した場合にも認められたことから, Cx36.7が心筋分化初期の段階でカルシウムイオンを選択的に通すヘミチャネルを形成していることが示唆された。さらに, 心筋分化に重要な転写因子の発現もカルシウムイオンに特異的に応答して上昇することを示す結果も得た。以上の結果は, Cx36.7がカルシウム流入を促して心筋細胞分化のトリガーとなるという研究当初の我々の予想を支持するものといえる。また, マイクロアレイによる網羅的解析から, カルシウム依存的または応答性のある分子の発現量がftkで変動していることを見出しており, Cx36.7がカルシウムイオンのメディエーターであることが強く示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
問題のコネキシン分子の通すシグナル分子の実体とそれが心筋細胞分化に及ぼす影響の一端を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通りCx36.7が関与するカルシウムシグナリング系の情報伝達因子の特定と心臓形成に与える影響について解析を行う。特に, 今年度で見出した転写因子の活性化機構について重点的に解析を行い, 同様のしくみがゼブラフィッシュ以外の動物種(ヒト)でも認められるのか培養細胞などを用いて解析する。
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