2013 Fiscal Year Annual Research Report
認知機能におけるエピジェネティクスの役割とその臨床応用性
Project/Area Number |
12F02422
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
戸田 達史 神戸大学, 大学院医学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHA Pei Chieng 神戸大学, 大学院医学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 一般認知機能g / エピジェネティック / 次世代シーケンサー / Methylation Sequencing / DNAメチル化 / 遺伝子発現の差 / 病態解明 / 候補遺伝子 |
Research Abstract |
本研究は、一般認知機能gを制御する遺伝子と遺伝子ネットワークのエピジェネティックなメカニズムを解明することを目的に行っている。これまでに、41匹の近交系マウスの行動解析および網羅的な遺伝子発現解析やネットワーク解析より、一般認知機能gを制御すると考えられる遺伝子ネットワークを同定した。 本年度は、一般認知機能gを制御する遺伝子と遺伝子ネットワークのエピジェネティックな発現メカニズムの解明を目的とし、次世代シーケンサーを使ったMethylation Sequencingでマウスの脳全体のDNAメチル化の検討を行った。まず、知能の高いと低いマウスの脳全体からDNAを抽出し、そのDNAを断片化させた。次に、メチル化DNA結合ドメイン(MBD)タンパク質を用いて、メチル化DNA領域を特異的に濃縮した。現在、濃縮したメチル化DNA領域からシーケンシングライブラリを作成し、次世代シーケンスによる解析を行っている。これらのシーケンス配列をリファレンスゲノムにマッピングした後、認知機能の高いマウスと認知機能の低いマウスに特異的なメチル化DNA領域を検出し、さらに、その特異的なメチル化パターンによる遺伝子発現の差が一般認知機能9にどのような影響を与えるのかを検討する予定である。 一方、同定された一般認知機能gを制御する遺伝子が認知機能に影響を与える病気の病態解明につながるかどうかを検討するために、Endeavourというソフトを利用し、さまざまなデータベースから集めた情報およびトレーニング遺伝子(現在報告されたパーキンソン病、アルツハイマー病および自閉症の候補遺伝子)の情報に基づいて、本研究で同定された遺伝子ネットワークにある複数の遺伝子の優先順位をつけた。今後、優先順位の高い候補遺伝子から機能解析などを進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当研究の目的である一般認知機能gを制御する遺伝子と遺伝子ネットワークのエピジェネティックなメカニズムの解明およびその臨床応用性に向け、前述概要のとおりおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
一般認知機能gを制御する遺伝子と遺伝子ネットワークのエピジェネティックな発現メカニズムの解明を目的とし、DNAメチル化の検討を次世代シーケンスで進めていく。今後、膨大なシーケンスデータから特異的なメチル化パターンがどのように遺伝子発現の差に影響を与えるのか、そしてそれがどのように一般認知機能gに影響を及ぼすのかを検討していく。 また、一般認知機能gを制御する遺伝子が認知機能に影響を与える病気の病態解明につながるかどうか、またその病気における新規め創薬の実現において有用であるかどうかをさらに検討していく。
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Research Products
(5 results)