2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12F02777
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
荒木 一郎 横浜国立大学, 国際社会科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NOELIA ZafraCalvo 横浜国立大学, 国際社会科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 財産権制度 / 財産権の束 / 交渉 / 保護活動 / 野生生物コリドー / アフリカ / モザンビーク / タンザニア |
Research Abstract |
平成24年度においては、異なる財産権制度の下で、どのように、多様な野生動物のコリドー(移動路)保全活動が実行されているのかを概念化することを目的とした文献調査及び実地調査を行った。財産権の束(bundles of property rights)と交渉状況に関する理論構成は、平成25年に南アフリカのケープタウンにて行われる「持続可能な開発を支援するための効果的なガバナンス、制度構成と経済構造」会議において発表する予定である。 また、この理念構成が、様々な保全戦略計画の下で、どのように実行されるかを検証することとし、生物保全活動費用有効性について異なる2つの事例の予備調査を行った。これはモザンビークのキリンバス・ニアサコリドーと、タンザニアのルヴマ州のセレウス・ニアサ野生生物保護コリドーである。予備調査結果は、平成25年7月に、アメリカ、メリーランド州ボルチモアにて開催される「システム、分野、ステークホルダーの結合」をテーマとした「第26回国際保全生物学会」にて発表する予定である。また同年6月にフランスで行われる「生態経済と制度的ダイナミズム」をテーマとした、「第10回欧州生態経済学会ビエンナーレ会議」でも発表を予定している。 モザンビークにおける現地調査は、データ収集、政府及び民間ステークホルダーとの面接調査、地域コミュニティーへのアンケート、脅威削減アセスメント方法論(TRA)を利用した生物保全の有効性についての評価等を含むものであり、調査の目的は、専門家への半構造的インタビューや地域コミュニティーへのアンケート、市場観察を通じコストについての一次及び二次データ収集をすることと、TRA方法論を用いて、モザンビーク北部キリンバス・ニアサコリドー保全活動の有効性に関するデータ収集を行うことであった。 現地調査はおおむね予定どおり実施することができ、有益な調査結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は異なる財産権制度の下で、最も経費効率の良いアフリカの野生生物コリドー保全計画戦略の可能性を探究することにある。 本研究は、理論的また実証的両側面から成り立っている。理論的側面では、財産権の束という概念を用いて、費用対効果と関連する保全処置について概念化できるかを調査した。結果的に構成された枠組みは、モザンビークとタンザニアでの実証研究と共に検証される。 研究の進捗状況は、ほぼ計画どおりである。理論的枠組みはすでに開発されており、平成24年度中に実施した実証研究において検証された。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度中に現地調査を終了し、国際会議にて、研究結果及び予備的考察に関する論文を発表する予定である。 今後は生物保護活動の経済的分析と、有効性評価を通して、費用対効果の観点から最も有効性の高い生物保護計画戦略を追究する方向で研究を展開する。実証研究の結果分析により、方法論の微調整が必要になる可能性がある。
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