2012 Fiscal Year Annual Research Report
海洋性微生物群を用いた低濃度窒素除去のための基礎的研究
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12J00080
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
粟田 貴宣 広島大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 海洋性アナモックス細菌 / 低濃度窒素除去 / 生理学的特性 / 気体透過膜 / アンモニア酸化古細菌 / 塩分含有排水 |
Research Abstract |
海洋環境中には海洋性アナモックス細菌のような環境浄化に有用な微生物や遺伝子が存在することがわかっているが,ごく一部に限られている.しかしながら、海洋性アナモックス細菌をはじめ、多くの微生物に関する情報は非常に限られており、不明瞭な点が多い。申請者はこれまでの研究において海洋性アナモックス細菌の集積培養に成功している。また、この海洋性アナモックス細菌を利用した塩分含有排水や低濃度窒素を含む排水中からの窒素除去が可能と考えている。 本研究の最終的な目的は、低濃度窒素除去システムの構築であり、その内研究期間内では海洋性微生物群に関する基礎的な知見を収集するとともに、低濃度窒素除去の可能性を明らかにすることを目的としている。 当該年度においては、海洋性アナモックス細菌の集積度を上昇させ、さらには固液分離膜を用いたリアクター運転によって浮遊状バイオマスの獲得に成功した。このバイオマスを用いて増殖温度範囲、塩分濃度範囲、pH範囲、増殖速度、基質親和性などの海洋性アナモックス細菌の生理学的特性を明らかにした。以上のように得られた結果は、海洋性アナモックス細菌の生態を理解する上で非常に重要であり、海洋環境中の窒素循環に対する理解に大きく貢献することを確信できるものである。さらに、廃水処理においては、海洋性アナモックス細菌の窒素除去能力が高いことを証明することができ、窒素除去に有効な微生物であることを明らかにした。また、予備試験の段階ではあるが、リアクターに酸素を供給することで亜硝酸型硝化反応の確認もできており、この点については今後明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
海洋性アナモックス細菌の生理学的特性を明らかにする際に、当初予定していた項目よりも多くの項目を追加したために、当初の研究計画よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定ではゲノム解析やプロテオーム解析を行う予定であったが、他の研究グループの成果によって必要性が少なくなったこと、さらに我々の研究グループでしか明らかにできないような、生理学的特性の一部である増殖速度が遅いことの要因を明らかにすることがさらなる課題となったため、遺伝子解析よりも回分試験やリアクター化を優先させる予定である。 低濃度アンモニアの亜硝酸型硝化については、今後リアクターを運転し、溶存酸素濃度や水理学的滞留時間の検討を行う予定である。
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Research Products
(3 results)