2012 Fiscal Year Annual Research Report
L1_0型強磁性体の組織形成に及ぼす外場の影響の解析
Project/Area Number |
12J00262
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
上島 伸文 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | バリアント選択 / 組織制御 / フェーズフィールド法 / 規則不規則変態 / 結晶磁気異方性 / Ll_0型規則相 / 変態ひずみ / 機能性材料 |
Research Abstract |
L1_O型強磁性体は外場下での熱処理によってバリアントが単一化することが知られている。当該研究代表者によるこれまでの研究により、L1_O型強磁性体の磁場下熱処理によるバリアント単一化は、初期に磁場、中期に界面エネルギー、後期にひずみエネルギーが支配的となり単一化が起こることが明らかとなってきた。本年度はL1_O型強磁性体の中でもFePdの物性値を用いて、フェーズフィールド計算を行うことによってバリアント単一化のメカニズムを詳細に調べた。その結果、磁場は核生成段階で影響を及ぼしていることが分かり、微視組織の解析からは、変態ひずみによってL1_O規則相の粒が微細かつ均質になっていることが分かった。これらの結果から、以下のようなメカニズムであることが示唆された。1.磁場印加が核生成に影響し、磁気的に有利なバリアントの核の数が増える、もしくは核の大きさが増大する。2.ひずみ場によって核の大きさが均質になるために界面エネルギーがより単一化を駆動するようになる。3.巨視的に材料が変形することによって生じる応力により、弾性ひずみエネルギーがさらに単一化を駆動する。 さらにバリアント単一化の弾性率および磁場強度依存性を明らかにしている。これらは、バリアント単一化のための材料プロセス設計指針の一般化に大きく寄与する、基礎の面でも応用面でも意義の大きい成果であるといえ、(社)日本鉄鋼協会・(社)日本金属学会関西支部材料物性工学談話会平成24年度第3回講演会&ポスター発表会において研究発表優秀賞を受賞している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
バリアント単一化のメカニズムを明らかにしたことから、本年度の目的である単一バリアント形成の指針の獲得がなされた。また同様に本年度の目的である弾性率依存性を明らかにするだけでなく、磁場強度依存性をも明らかにしているため、当初の計画以上に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究によって、磁場が核生成段階に影響を及ぼすことによってバリアントの単一化が起こる事が分かった。今後は核生成段階に及ぼす影響の詳細を調べるために、フェーズフィールド法に核生成を模擬した揺動を導入する方針である。また、本年度明らかにしたメカニズムから得られる単一化の指針について検証の計算を行う。
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Research Products
(8 results)