2012 Fiscal Year Annual Research Report
生活習慣改善が動脈伸展性を増大させる器質的機序の解明:フィブリン5へのアプローチ
| Project/Area Number |
12J00264
|
|---|
| Research Institution | University of Tsukuba |
|---|
Principal Investigator |
膳法 亜沙子 筑波大学, 医学医療系, 特別研究員(PD)
|
|---|
| Keywords | 肥満者 / 生活習慣 / 有酸素性運動 / 食事改善 / 中高齢者 / 動脈伸展性 |
|---|
| Research Abstract |
今年度は、肥満者における生活習慣改善が中心動脈伸展性を増大させる器質的メカニズムを解明するために動脈の伸展性を決定する弾性線維の形成に不可欠なフィブリン5タンパク質に着目して検討を行った。
すなわち、(1)成人肥満男性における食事改善が血中フィブリン5濃度に与える影響、(2)成人肥満男性における食事改善と習慣的な有酸素性運動の併用が血中フィブリン5濃度に与える影響、(3)中高齢女性おける有酸素性運動トレーニングが血中フィブリン5濃度に与える影響について検討した。
(1)成人肥満男性における食事改善が血中フィブリン5濃度に与える影響
肥満者における減量が血中フィブリン5濃度に与える影響を明らかにするため、肥満男性における12週間の食事改善が血中フィブリン5濃度に与える影響を検討した。介入後、血中フィブリン5濃度の有意に減少した。
(2)成人肥満男性における食事改善と習慣的な有酸素性運動の併用が血中フィブリン5濃度に与える影響食事改善および有酸素性運動トレーニングが血中フィブリン5濃度に与える影響を検討するために肥満男性における12週間の食事改善および有酸素性運動トレーニングの併用が血中フィブリン5濃度に与える影響を検討した。介入後、血中フィブリン5濃度の有意な変化は認められなかった。
(3)中高齢女性おける有酸素性運動トレーニングが血中フィブリン5濃度に与える影響
有酸素性運動トレーニングが血中フィブリン5濃度に与える影響を検討するために非肥満者である中高齢女性における12週間の有酸素性運動トレーニングが血中フィブリン5濃度に与える影響を検討した。介入後、血中フィブリン5濃度の有意な増加が認められた。
今年度は、肥満者や中高齢者における生活習慣改善が血中フィブリン5濃度に与える影響を明らかにした点で新たな知見を得たと考えられる。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度は、肥満男性における食事改善、または肥満男性における食事改善と有酸素性運動トレーニングの併用が血中フィブリン5濃度に与える影響を検討した。さらに、中高齢女性おける有酸素性運動トレーニングが血中フィブリン5濃度に与える影響についても検討した。この結果、肥満者や中高齢者における生活習慣改善が動脈伸展性に関与する弾性線維形成必須因子であるフィブリン5に影響を与える可能性を示した。当初の予定では肥満男性における食事改善が血中ブィブリン5濃度に与える影響についてのみ検討する予定であったが、その他に2つの介入研究を行うことができた。このことから今年度の結果は、当初の計画以上の成果であると考えられる。
|
| Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究より、肥満者および中高齢者における有酸素性運動トレーニングは、動脈の伸展性を決定する弾性線維の形成に不可欠なフィブリン5タンパク質を減少させないために重要である可能性が示唆された。しかし、動脈壁において過剰に弾性線維が構築されると動脈伸展性は逆に低下する可能性がある(Arribas et al. Am JPhysiol;295:H2299-307)。動脈壁における弾性線維は、分解と合成のバランスを適切に保持することが重要である。
また、弾性線維だけでなく、コラーゲン線維も動脈伸展性に影響を与える器質的因子である。今後は弾性線維およびコラーゲン線維の合成や分解について検討を行う必要がある。次年度は、弾性線維合成指標であるフィブリン5だけでなく、弾性線維およびコラーゲン線維の分解指標であるマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)およびコラーゲンの生成・蓄積に関連するit阻害因子(TIMP)などについてヒトを対象として引き続き検討を行う予定である。
また、動脈壁の肥厚度に与える影響を検討するために内中膜複合体厚などを計測することを予定している。
|
Research Products
(6 results)
