2012 Fiscal Year Annual Research Report
時間領域マイクロ波散乱シミュレーションによるSAR画像生成と海面観測への応用
Project/Area Number |
12J01067
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 毅郎 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 合成開口レーダ(SAR) / シミュレーション / 海面観測 |
Research Abstract |
本年度の研究実施状況としては、海面観測を対象とした合成開口レーダ(SAR)画像シミュレーション開発のために、従来までに開発した海面からのマイクロ波後方散乱を時系列で求めるシミュレーションツールを発展させ、SARで受信されるような時系列のマイクロ波後方散乱のシミュレーション方法を開発した。まず初めに、基礎的なシミュレーションの動作確認として、あるターゲットを対象にSAR画像シミュレーションを行い、サンプリングや後方散乱波の位相、計算格子の大きさなどシミュレーションにおいて重要な基礎項目の検討を行った。そして、レンジ方向及びアジマス方向それぞれの時系列受信信号をSAR受信信号として求め、実際のSARと同様な信号処理を行い高分解能のSAR画像を生成した。次に、動くターゲットの場合についてシミュレーションを行い、観測対象の速度成分による画像変調が生じることをシミュレーション結果で得られることを確認した。次に、観測対象をターゲットから海面状態としてシミュレーションを行った。海面状態は不規則な風波面と設定し、シミュレーションによって得られる受信信号の入射角依存性を海面におけるマイクロ波散乱理論に基づいていることを確認した。このように本シミュレーションの特徴としては、海面におけるマイクロ波散乱理論に基づき、時間領域でのマイクロ波後方散乱を求めることで時間変動する海面に特有の画像変調効果を含んだSAR画像を生成できることである。さらに、シミュレーションを用いて時間変動する海洋波をSARで観測する場合の映像メカニズムについても考察を行った。海洋波の波向によってSAR画像にどのように表示されるか理論と比べながら検討を行った。また、実際のSAR画像解析として、日本近海のSAR画像を判読し実海域データと比較することで、海面のSAR画像の映像メカニズム考察にも取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海面観測を対象としたSAR画像シミュレーション手法開発については順調に進行している。研究計画通り、ターゲットの動きの影響による変調成分と海面におけるマイクロ波散乱現象に基づいたシミュレーション方法の開発を行った。シミュレーションした海面のSAR画像から映像メカニズムについて検討を行った。また、人工衛星ALOSに搭載されたSARによって得られた日本近海の画像解析も取り組んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に開発したSAR画像シミュレーションを用いて引き続き映像メカニズムの検討や他研究で提案された波浪観測アルゴリズムの検証などを行う予定である。本シミュレーションを海面観測アルゴリズム開発の支援ツールとして用いることで、これまで解析精度の検証が困難であったアルゴリズムの評価を行う。また、実際のSAR画像解析を行い、海面のSAR画像に特有の画像変調効果や波浪観測に適した条件、観測システム上の問題点などについて、シミュレーション結果や実海域データを参考にしながら考察する。
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